「服が痛くて着られない」感覚過敏の壮絶な苦しみ わが子が制服や靴下を嫌がるのにはワケがある
「服が痛い」と訴える加藤さんの特性は、「人に触れられることが苦手」「服のタグ、縫い目などに痛みや不快感を感じ、快適に着られる衣服が少ない」「化粧品やリップクリーム、ハンドクリームなど肌に塗るものが苦手」といった代表的な症状である「触覚過敏」によるものだった。
「わがまま」ととらえられるケースも……
「触覚過敏」のほかにも、感覚過敏には以下のような症状がみられる。
・スマホやパソコンの画面の光が目に刺さる感じで痛い
・太陽の光で頭が痛くなる etc.
・冷蔵庫や空調、時計の秒針などの生活音、環境音が気になる
・大きな音に恐怖を感じたり、騒がしい場所にいると体調が悪くなる etc.
・化粧品やシャンプーなどニオイのあるものが使えない
・食べ物のニオイで頭痛や吐き気がする etc.
・味に敏感で食べられるものが極端に少ない
・食感にも苦手なものが多い etc.
・人に触れられることが苦手
・服のタグ、縫い目などに痛みや不快感を感じ、快適に着られる衣服が少ない etc.
・熱さに敏感すぎて、風呂に入ることができない(温度感覚)
・ブランコや遊園地の乗り物が苦手(平衡感覚)
症状の強弱こそあれ、感覚過敏は“見えない特性”のひとつ。だからこそ、周囲には当人の困っているレベルがわからず――そもそも「感覚過敏」「感覚鈍麻」といった特性への理解も満足といえない状況下で――「なぜ、こんなことができないの!」「わがままではないのか?」といった認識を持たれることが多い。当然、当人のつらさは増していき、不登校などにつながるケースも少なくない、という実態がある。
いま、“見えない特性に対する、環境面での配慮”が、必要とされている。
たとえば、視力が弱く、黒板の字がよく見えない子に対して「見えないのは甘え。がんばって見なさい!」という人はいないだろう。ところが、感覚の特性が原因で決まった行動が取れない子に対しては「みんなできているのに、あなたはなぜできないの! きちんとしなさい!」という指導が行われたり、「あの子はわがまま」といった目で見られたりすることが、先述した通り、しばしばある。