本書との関連で、もう一冊紹介しておきたいと思います。多摩大学学長の寺島実郎の、『何のために働くのか 自分を創る生き方』です。
寺島はこの本の中で、内村鑑三の『後世への最大遺物』と市井三郎の『歴史の進歩とはなにか』を引用しながら、次のように、「君たちはどう生きるか?」を問いかけています。
「『後世への最大遺物』は、一八九四年、箱根・芦ノ湖畔で開かれたキリスト教徒・夏期学校における内村の講話をまとめたもので、文庫本でわずか七十一ページの短い講演録である。語られているテーマは、「我々人間は、人生を通じて、この世に何を遺せるのか」という根源的な問いかけである。心に沁みるのは、最後の四行である。
われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを、後世の人に遺したいと思います。「人間は何のために生き、働くのか」
さらにもう一冊、『数学する身体』で有名な独立研究者の森田真生の『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』を紹介したいと思います。
この本のタイトルは、『君たちはどう生きるか』に呼応するものだと思います。
森田は、学び・教育・研究・遊びを融合する実験の場として立ち上げた京都の鹿谷庵を拠点に、コロナ禍で生き方に根本的な変化が生じた「エコロジカルな転回」以後の、言葉と生命の可能性を追究しています。
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