現代人が「働く意味」を見失った歴史的な深い理由 今こそ宗教改革以来の「労働観」を変えるべき

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何のために働くのか(写真:Taka/PIXTA)
現在、学校教育のみならずビジネス社会においても「教養」がブームになっている。その背景には何があるのか。そもそも「教養」とは何か。なぜ「教養」が必要なのか。
ベストセラー『読書大全』の著者であり、「教養」に関する著述や講演も多い堀内勉氏が、教養と生きることの意味について論じる、好評シリーズの第7回。

皆さんは、自分が何のために働くのかについて考えてみたことはあるでしょうか。

自分は「何のために生まれてきたのか?」「何のために生きているのか?」という問いであれば、即答するのは難しいと思います。

ここには多くの哲学的な問いが含まれていますし、そもそも私たちは自分の意思で生まれてきたわけではありません。

「労働の意味」の歴史的変化

では、「なぜ働くのか?」と問われたら、どうでしょうか。

誰かに強制されたわけではなく、大人になって自分の意思で働き始めたにもかかわらず、何のために働いているのか答えられないということはあるのでしょうか。それとも、単に「お金のため」というのがその答えでしょうか。

「労働」の意味は、未開社会、古代、中世、近代と徐々に変化してきました。そこに宗教的な意味や共同体の規範的な意味が含まれていた時代と、現代の資本主義社会における労働の持つ意味はかなり異なっています。

今回は、これまで語ってきた「教養」という切り口で、私たちの働き方について考えてみたいと思います。

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