今では逆にAI(人工知能)が人間の仕事を奪うのではないかという後ろ向きな議論も多く、なぜAIに仕事を奪われることがいけないのか、経済が成長しているのに私たちの生き方は貧しいままという現状を見つめ直してみるときなのではないでしょうか。
「退屈」こそが人類にとっての最大課題に
実は、ケインズ自身も、労働からの解放という点に関しては、別の意味で悲観的な見方をしていました。彼は、経済問題が解決された成熟社会においては、余暇における「退屈」こそが人類にとって真の課題になると考えていたのです。
生存のための闘争としての経済というのは、人類の誕生以来、最も重要な課題であり、その解決のために本能を進化させてきた人類が労働から解放されてしまったら、多くの人たちは何もすることがない状態に堪え切れず、神経衰弱になってしまうと考えたからです。
最後にもう一度、前回紹介した寺島実郎の『何のために働くのか 自分を創る生き方』を紹介したいと思います。寺島は次のように言っています。
皆さんも、自分が何のために働くのかについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
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