現代人が「働く意味」を見失った歴史的な深い理由 今こそ宗教改革以来の「労働観」を変えるべき

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今では逆にAI(人工知能)が人間の仕事を奪うのではないかという後ろ向きな議論も多く、なぜAIに仕事を奪われることがいけないのか、経済が成長しているのに私たちの生き方は貧しいままという現状を見つめ直してみるときなのではないでしょうか。

「退屈」こそが人類にとっての最大課題に

実は、ケインズ自身も、労働からの解放という点に関しては、別の意味で悲観的な見方をしていました。彼は、経済問題が解決された成熟社会においては、余暇における「退屈」こそが人類にとって真の課題になると考えていたのです。

生存のための闘争としての経済というのは、人類の誕生以来、最も重要な課題であり、その解決のために本能を進化させてきた人類が労働から解放されてしまったら、多くの人たちは何もすることがない状態に堪え切れず、神経衰弱になってしまうと考えたからです。

最後にもう一度、前回紹介した寺島実郎の『何のために働くのか 自分を創る生き方』を紹介したいと思います。寺島は次のように言っています。

「自分の責任において担うべきことは、胸を張って担い、その上で、本人の責任を問われるべきでないことで苦しむ人達に温かい眼を向け、不条理な世の中の仕組みや制度を変える気迫を若者には求めたい。」「大量のエントリーシートを記入することだけが就職活動ではない。就職や転職という人生の岐路で、『自分はなぜ働くのか』『人生の目的とは何か』を立ち止まってじっくりと考えてほしい。」


 皆さんも、自分が何のために働くのかについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

堀内 勉 多摩大学社会的投資研究所教授・副所長、HONZ

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ほりうち つとむ / Tsutomu Horiuchi

外資系証券を経て大手不動産会社でCFOも務めた人物。自ら資本主義の教養学公開講座を主催するほど経済・ファイナンス分野に明るい一方で、科学や芸術分野にも精通し、読書のストライクゾーンは幅広い。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事