村上世彰氏が再来、「半導体商社」に再編の機運 菱洋エレクトロとリョーサンの統合は刺激剤に
半導体商社に熱いまなざしを向けるファンドは、村上氏だけにとどまらない。今年2月までリョーサン株の18%を保有していたのは、イギリスの投資ファンドであるシルチェスターだった。このシルチェスターの保有分のすべてを菱洋エレクトロが取得した。
表に裏にいるファンド株主
半導体商社で売上高トップの3社は、M&Aによって規模を拡大してきた企業たちだ。
業界の圧倒的トップは、唯一の「1兆円企業」であるマクニカHD。同社は2015年に国内同業との経営統合で規模を拡大。その後も台湾やシンガポール、アラブ首長国連邦のエレクトロニクス商社を買収してきた。
売上高6000億円前後で2位の加賀電子は、前述のようにシティから同業のエクセルを買収。M&Aに超積極的で「1兆円企業」を目指すことを公言するなどまだまだ鼻息が荒い。
3位のレスターHDは、2019年に同業2社の経営統合によって売上高5000億円規模に浮上した企業。同年には投資ファンドのシンプレクスが持っていた菱洋エレクトロ株20%を菱洋の合意なく敵対的に取得したこともある。結局、菱洋がレスターHDから買い戻し“再編”は不発に終わっている。
2社をみてもわかるように、「半導体商社に動きがあるとき、そこにファンド株主の影あり」。ちなみに足元では、村上氏系のファンドがレスター株を計11%を保有する大株主だ。
リョーサンの稲葉社長は、今回の経営統合を発表してから「(同業他社の社長から)ものすごい反響があった」と明かす。「これからは自分たちも再編していかなければいけないと考えていたのかもしれない」。稲葉社長はそう心情を察する。
半導体材料の業界でも、フォトレジスト大手のJSRが業界再編を掲げ、政府系ファンドの買収によって非公開化の道を選んだ。JSRは「業界の競争力があるうちに再編していかなければいけない」というスタンスだ。
将来を見すえ、半導体産業全体の競争力を高めていく流れにある。その機運は半導体商社にも広まっていくだろう。表に裏に、ファンド株主が絡んだ業界の再編は続きそうだ。
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