ベストレストラン50「ペルーの店」が1位の"意味" 「セントラル」の実力は?東京・永田町に姉妹店も

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■フロリレージュ(東京)27位

シェフの川手寛康(かわて・ひろやす)氏は1978年生まれ。フランスで修業後「カンテサンス」のスーシェフ(副料理長)を経て、2009年、30歳で外苑前に「フロリレージュ」を開業。日本の食材・生産者に焦点を当て、経産牛を用いるなど、社会的なメッセージ性を料理に込め、独創的な料理を提供している。

■セザン(東京)37位

初めてランクインした「セザン」は「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」のダイニング。総料理長のダニエル・カルバート氏は1987年生まれ、英国出身。16歳からロンドンのレストランで働き、シェフとして就任した香港「ベロン」で「ベストレストラン50」アジア版で4位にランクインした。2021年現職に就任、端正なフランス料理を提供している。

世界的な知名度を獲得できる「ベスト50」

「ベスト50」は今年で21回目。イギリスの雑誌社によって2002年に始まり、毎年、50位から1位まで、50軒のレストランが選ばれる。現在は、この「世界のベスト50」から派生した、アジアやラテンアメリカなど地域ごとのランキングや、「ベストペストリー賞」や「最優秀女性シェフ賞」などの個人賞があり、これらも同様に年に1度発表されている。

2022年には地域版として新たに中東・北アフリカ版が創設され、ドバイやカイロなど、これまで美食の地としてはあまり認知されてこなかった地域のレストランが広く注目を集めるきっかけを作った。

「ベスト50」のランキングは、世界的な知名度を得ることに直結している。

現在、レストランを評価する国際的な媒体として「ミシュラン」や「ゴ・エ・ミヨ」などがある。「ベスト50」のそれらとの最も大きな違いは、レストランの立地が世界どこの国であってもかまわないことだ。

知名度では圧倒的なミシュランも、世界全体から見れば国や地域は限られている(世界40エリア以上・約1万6000軒、ミシュランガイド公式サイトによる)。それ以外の地域にあるレストランが顕彰される機会は、「ベスト50」以前はほぼ皆無だった。

「セントラル」は2009年、ペルーの首都リマに開業した。

シェフのヴィルヒリオ・マルティネス氏は「セントラル」のほかに、研究施設「マテル・イニシアティバ」と、アンデス山脈の山中、標高約3500mのモライ遺跡にレストラン「ミル」を開設し、ペルーの自然や生態系について研究・発信してきた。

標高3500mの場所にある「ミル」と併設された研究所。写真中央部のすり鉢状のくぼみはモライ遺跡(写真:セントラル提供)

ペルーは長い海岸線を持ち、アンデス山脈とアマゾンの源流という豊かな自然環境と多様な気候を擁する。マルティネス氏はペルー中を旅し、標高ごとに変わる多彩な食文化から「マーテル・エレベーション(母なる標高)」というコンセプトを生み出した。

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