土井善晴「料理に失敗なんて、ない」断言する真意 「一汁一菜」にこめた、料理するあなたへのエール
忙しいときにハンバーグなんか作れない
――土井さんが一汁一菜を提唱されるようになったのは、いつ、どのようなきっかけだったのでしょうか。
2015年ごろ「土井善晴の勉強会」というタイトルで座学の講演会をやっていました。そのとき「大人の食育」の回に来てくれた、小さい子のいるような若い人たちが、「料理を作りたいけどできない」とみんな困っておられた。そのときに「味噌汁とご飯でいいんです」と話したのが一汁一菜の始まりでした。
一汁一菜とは、昔から言われる「汁飯香」、ご飯と味噌汁と香の物(漬物)です。味噌汁を具沢山にすれば、味噌汁がおかずの一品を兼ねるので、ご飯と味噌汁だけでも一汁一菜となります。味噌汁にうどんや餅を入れれば、一椀(ひと鉢)で一汁一菜です。
まあ、ご飯を炊いて、味噌汁を作れば、ノルマ達成です。それにプラスして、生活に、気持ちに、時間に、余裕があれば食べたいものを作ればいい。そうして作るおかずはすべておまけの楽しみとなります。あわててお料理を習ったり勉強したりしなくても、その都度、一つ一つ覚えればいいのです。
一汁一菜なら誰でも作れるんです。「料理を作りたいけど、忙しくて作れない」と皆さんよく言われますが、先におかずを作ろうとするからですね。最初はそれがわからなくて、みなさんが何を作ろうとしているのか、私には不思議でした。忙しいときに手間のかかるハンバーグなんか作っていられないでしょう。
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