10年で1人前の「寿司職人」3年で握らせる店の狙い 早く握りたい若手も多く、離職率も課題にある
「鮨 銀座おのでら 登龍門」はオープンしてから、1年2カ月ほどで、銀座の高級寿司店で通用する2人の握り手を輩出した。順調に進んでいるようだが、坂上氏はそうは考えていない。営業時間は16時から22時となっているが、朝から通しで営業してもっと握りの場を増やし、経験を積んでもらいたいという。
卒業したらすぐに3年目の若手が入るようにし、育成サイクルを速めていく。より多くの寿司職人を育てていき、今後は国内外に「鮨 銀座おのでら」のブランド5店舗以上を新たに展開していく予定だ。
このように寿司職人を育成するエコシステムを構築しているが、課題もある。
現在の育成システムは、発案者である坂上氏に依拠するところが大きい。坂上氏の“目利き”によって、登龍門への抜擢や卒業が決まるので、属人的な側面がある。中長期的な観点に立てば、坂上氏がいなくても、育成システムが回っていくような仕組みにする必要がありそうだ。
料理の経験や、酒の拡充も課題に
もう1つは、料理の経験だ。若手が握ることを育成のメインにしているので仕方ないが、つまみの種類を増やしていき、調理の技術も高められると、なおよいだろう。
最後は、お酒の拡充。日本料理でもお酒とのマリアージュは大切なので、日本酒の取り扱いを広げたり、ワインも扱ったりし、お酒との相性も考えられるように育成できるといい。お酒は客単価を上げるためにも重要なアイテムなので、一人前になった時に必要だろう。
いくつか課題もあるとはいえ、坂上氏が「鮨は日本の文化です。正しい知識をもった若手に育ってほしいですね。ただ流行りに乗るのではなく、基礎をしっかりと固めてもらいたいです」と力を込めるように、「鮨 銀座おのでら 登龍門」が真摯に一人前の寿司職人を育てようとしていることは間違いない。
「鮨 銀座おのでら 登龍門」の「昇り龍」たちが「銀座から世界へ」と羽ばたいていくのが楽しみだ。
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