コート上での彼の語気は強く、気迫はありますが、決して、人を傷つけるものであったり、ヒステリックなものではありません。選手たちを鼓舞するための「計算された怒り方」という印象を受けます。
そこには、行き過ぎないように「一定のルール」があるのです。
「お前」といった呼び方はせずに、名前を呼ぶ。また、「こうしろ」という命令口調もなく、「なにをやっているんですか?」と問いかける。
「厳しさを残しながら、なるべく丁寧な言葉を心がけました。思いを込めたポジティブな言葉だからこそ、相手も信じてくれる」(同前)というわけです。
リスペクトに年齢は関係ない
ホーバス監督は、日本の体育会組織にありがちな上意下達の先輩後輩制度にも、異を唱えます。
後輩が先輩に遠慮するといった悪弊をなくすために、「コートの上では先輩後輩は関係ない」と言って聞かせました。フラットな関係性がコミュニケーションを活性化させるからです。
女子代表チームのメンバーは、試合中、なかなか声を出せませんでしたが、お互いに声を掛け合えるように変えていきました。
誰が上でも下でもない関係性の中で、相互の思いやりや敬意を醸成する。「年齢に関係なくお互いをリスペクトし合えるチームはやはり、結果にも表れる」(同前)のです。
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