「パチンコに似ている?」と思った方にはわかりやすいかもしれない。これまで、トーナメントディレクターや競技委員しか楽しめなかったピンの位置を決める「特権」を1ホールとはいえ、ただでゴルフファンにくれるというのだからもらっておいても損はない。
ゴルフに少しでも関心を持ってもらおうと狙う今回の企画。右肩下がりのゴルフ業界、「もう遅い」という声もあるだろうが、「遅くてもやらないと日本のゴルフは消滅する」という危機感もある。トーナメントで「ピンの位置をゴルフファンに決めてもらう」ことが、果たしてどれだけのファンの反響を呼び、ゴルフ界に好影響をもたらすかは分からない、というより、ほとんど影響がない可能性があるものの、やらないよりやったほうがいいということだ。
かい離していた協会とファンの興味や嗜好
協会とゴルフファンの興味や嗜好はこれまでかい離していたことは否めない。米ツアーではトーナメントとなれば開催する町の一大行事で、ギャラリーも1日万人単位で観戦に来る。日本では4日間合計で米国の1日分に毛が生えたぐらい。トーナメントのつくり方に問題があるのかの検証もなされていない。日本ツアーの中でPGA主催はこの日本プロだけなので、そこからまずは小さな一歩ということだが、これだけで終われば意味がなくなる。
ちなみに、4日間で行われる男子のトーナメントでは最終日の前日、3日目というのは前2日間の予選を通過して賞金にありつける選手たちが、あとは「いくら稼げるか」のみに集中する。
米国では「ムービング・サタデー」といわれるように、下位の選手は少しでも稼ごうとし、上位の選手は優勝を目指し、追いつかれないように、いずれも攻めに転じる。うまくいったら好スコアも出るし、ギャンブルに失敗したら奈落の底、といった感じでスコアの明暗がくっきりしやすい。
「上がり3ホール」という言葉も聞いたことがあるのではないだろうか。ゴルフ場のいける16番ホールから18番ホールまでだ。最終日を控える選手たちにとっては「上がりよければすべてよし」というように、翌日に向けて気分を盛り上げる大事な3ホール。その入口が16番なので、キーホールであり、テレビ中継でも放送される。
日本プロは、今年で83回目の日本最古のトーナメント。約90年前、1926年に始まった時の出場選手は6人、賞金はなかった。今年の日本プロの優勝賞金は3000万円、2位は1500万円。ひょっとしたら、16番のピンの位置によってスコアが動いて1500万円の違いがでたなんてこともありえる。
PGA初の試みには、もちろん女性も投票で参加できる。さて、ゴルフファンは選手を苦しめられるか、楽をさせるか。
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