日本のプロゴルフ業界が、初の取り組みに着手する。
5月14日から4日間、埼玉・太平洋クラブ江南コースで開催される、「日本プロゴルフ選手権 日清カップヌードル杯」。この3日目(5月16日)、16番ホールのピンの位置が、一般のゴルフファンによるインターネット投票で決まる。
日本のトーナメントでは初の試み
これは日本プロゴルフ協会(PGA)が打ち出した新しい試みだ。その名も「“俺たちの16番”~みんなで決めよう!メジャーのピン位置」である。一般のゴルフファンがピンの位置を決めるのは、米国のメジャー大会「全米プロ」など海外では行われているものの、日本のトーナメントでは初めてのことだ。
日本のゴルフ市場は約1兆4000億円と過去20年でほぼ半減。凋落してしまったビジネスをテコ入れすべく、関連団体が「6000億円増」の提言を打ち出したのが3月上旬。今回もその流れの中にある。
トーナメントにおけるグリーン上のピンの位置(カップの位置)は、プロゴルファーにとってはスコアを出す上で重要な要素を占める。通常、トーナメントではトーナメントディレクター、競技委員会が事前にコースを視察して、3~4日間で、その日その日のグリーン上のどこにカップを切るかを、入念に下調べしてから決定する。
ただ、漫然と「そのへん」にカップの穴を開けている訳ではないし、毎日ピンの位置を変えている。よく、テレビや新聞でプロゴルファーの「きょうはピンの位置が難しかった」というようなコメントを見たり聞いたりしたことがあるのではないだろうか。
ゴルフ場に行った方はわかるだろうが、グリーンは平面ではなく、かなりの起伏がある。そうした傾斜の途中にカップがあると、狙う場所によってはかなりボールが曲がるので「難しい」。ピンの位置によって、スコアが左右されるケースも少なくない。
トーナメントディレクターも「きょうは締めておいたから」というようなことをいう。これは「難しいところにピンを切ったから、いいスコアは出にくいよ」という意味だ。ピンの位置を決めるというのは、自然現象以外で唯一、スコアを左右する細工をでき、「スコアが出やすい」「出にくい」といった試合をコントロールする要素にもなる。
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