【後編】資産億超え投資家がNTTを永久保有する訳 12期連続の増配実績や、高い組織力が魅力だ

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(出所:IRプレゼンテーション資料の5ページ目)

またNTTの場合、「IOWN(アイオン)」という世の中を一変させる可能性があるビジネスも進行中であることも、注目すべきポイントです。このプロジェクトは「データ伝送容量が125倍になる」「電力効率が100倍になる」などが売りで、実現すれば社会に大きなインパクトを与えることが予想されます。

電力不足の解消にもなりますし、いろんな会社が取り入れる余地もあります。安定した大手企業で、こういうプロジェクトをやるのは夢のあることだと思いますし、投資家に利益を還元しつつ、新たな事業に投資していく姿勢も好感が持てます。

優秀な企業は、準備を欠かさず、自ら将来を作っていきます。業界トップの企業は、ビジネスの革新をそれだけ長きにわたって行い続けてきているのです。

KDDI、ソフトバンク、楽天と比較すると…

なお、同じく携帯端末事業を手掛ける会社として、KDDIは決して悪くはありませんが、個人的にはIOWNのようなインパクトと希望のあるビジネスを期待したいところ。

ソフトバンクは自己資本比率が10%台と、NTT、KDDIと比較して低すぎるため、財務健全性に懸念があります。業績がいい時はいいものの、悪い材料が出て業界全体が沈んだ時に、影響が出てくる可能性があるのです。

自己資本比率:総資産のうち純資産(新株予約権を除く)の占める割合のこと。自己資本比率が高い企業は、一般的に財務健全性が高いと考えられます。

また、成長性という面でも、ソフトバンクには疑問が残ります。ソフトバンクは配当性向85%を打ち出しており、これは投資家目線では魅力に感じますが、言い換えるとほとんどの儲けを株主に還元しているということでもあり、中長期的に見ると新たなビジネスを作ることを犠牲にしているとも考えられるのです。配当性向が高いだけで、選択する理由にはなりません。

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