「古民家を自分でリノベした外国人」が語る醍醐味 ヨーロッパとはまるで違う日本でのリノベ体験

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さらに厄介なのはネズミです。ネズミの場合はさらに費用がかかります。私の場合、1軒につき20万円ほどかけて、侵入できないように鉄柵を設置し、すべての穴をふさがなければなりませんでした。作業は数日を要する上、非常に複雑なものでした。

木造住宅の場合、さまざまな問題に対処しなければなりませんが、日本でのリノベにはエキサイティングな部分もあります。私のハイライトは京都の大きなゴミ処理施設で建設ゴミを処理したことでしょう。これは外国人にとってはかなりの冒険で、コンクリートの塊や古いバスタブなどを巨大なベルトコンベアに自分で捨てることができるという、かなり開放的な体験でした。

日本ではDIYが盛んだと聞いていましたが、こちらでは自分の家を自分でリフォームしているという人に会ったことがありませんでした。ヨーロッパの家具会社のキッチンパーツを運んできた配達員は、私たちが、自分たちでリノベしていることが信じられないという様子でした。20年間、家具やキッチンの配送をしていて、自力で設置する人を見たことがないとのこと。

また、近所の人たちも驚き、興味を示し、リノベ中には何度も見学しに来ていました。彼らもまた、私の友人が自分で家を改装したことを信じられない様子で、私たちのこういった作業を「とてもヨーロッパ的」だと感じたようです。

京都の古民家の外観のビフォーアフター(写真:筆者撮影)

古民家暮らしの「実際」

日本で空き家や古民家を購入することはリノベをして終わり、ではありません。メンテナンスも家を快適に保つためには重要です。特に冬は寒くて乾燥していて、夏は非常に暑くて湿度が高い日本の気候は木造の家屋に大きな影響を及ぼします。夏の間はカビ対策が必須ですし、庭がある場合はその手入れも大変。毎年、夏休み後にヨーロッパから日本に帰ってくると、庭がジャングルのようになっています。

また、日本の古民家では、音響の面でのプライバシーはほとんどありません。人里離れた田舎の家でもない限り、周りの音が全部聞こえてしまいます。場合によっては、隣人のいびきや喧嘩の声も聞こえるし、隣人が食べているものの匂いを毎日嗅ぐことになるのも実際に住んでからわかったことです。

東京で最初に家を買ったとき、不動産屋が「日本人はこんな家を買わない」と言った理由が理解できませんでした。こんなに素敵なところに住みたいと思わないなんて、と。

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