ペット可物件に潜む「高額請求トラブル」の不条理 いきなり送られてきた「70万円の請求書」の衝撃
独立行政法人・国民生活センターには、賃貸物件の敷金や原状回復をめぐるトラブルの相談が毎年寄せられています。それらの中で最も多いのが「ペット飼育によるトラブル」で、全体の約24~25%(同センター調べ)を占めるほど。
賃貸物件でペットを飼育するのであれば、借主はペットによる部屋の汚損がないよう対策する必要があります。しかし、生き物である以上、予期せぬ事態も起こります。
もちろん、敷金や原状回復などに関する契約内容は賃貸物件により違います。ペット起因による汚損も、その契約内容に則して必要な金額を支払わなければなりません。しかし、トラブルの相談が多いということは、理不尽な請求も多いということでしょう。
特に説明もなく届いた「70万円の請求書」
神奈川県に住むAさん(男性)は、ペット可賃貸物件を退去する際、理不尽な多額請求をされたといいます。Aさんが借りていた部屋は3LDKの間取りで、愛犬と愛猫とパートナーのBさんと暮らしていました。
賃貸物件なので汚損はなるべく避けたいと考え、愛犬はリビングを半分に仕切って飼育し、床や廊下は傷が付かないようにゴムマットを敷きました。また、愛猫も一部の部屋だけで飼育し、壁も床も傷が付かないように対策をしました。毎日の掃除や除菌・消臭も欠かさず行い、気を配りながら過ごしていたといいます。
2年半後、転居することになり荷物の整理を始めたところ、Aさんは「愛猫の尿が巾木の隙間に染み込んだことによる廊下側の壁の汚損」と「愛犬のベッド置き場のLDKの一部の床と壁紙の変色」を発見しました。
Aさんは退去時の立ち会いで、管理会社の担当者に「この2か所はペット起因の汚損なので、修繕費を支払います」と正直に伝えました。担当者はそれを確認して、「㎡単位の交換になる」と話したそうです。そのほかの部分は特に大きな問題はないと判断され、Aさんは担当者が作成したチェックシートを確認して署名した後、退去しました。
数日後、管理会社から郵便物が届きました。それは、退去時の立ち合いで担当者と確認したこととはまったく異なる内容の清算書と約70万円の請求書でした。驚いたAさんは、すぐに管理会社と不動産会社の担当者に連絡。現地での説明や、画像の提示など納得のいく説明を求めました。
すると両者ともに「すでにリフォームが始まっているから見られない」「請求書通りに支払ってくれ」と一点張りの対応です。「退去時の立会いはいったい何だったのか」と、業者の理不尽な対応にAさんは憤りを感じたと言います。
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