ペット可物件に潜む「高額請求トラブル」の不条理 いきなり送られてきた「70万円の請求書」の衝撃

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しばらくして管理会社からリフォーム会社が作成したという修繕詳細説明書が届きました。しかしそこには画像の提示もなく、ただ驚くような説明だけが書かれていました。Aさんが申告した壁の汚損については「部分張替えは不能なため廊下すべての張替えが必要」と、反対側の廊下の壁紙まで交換することになっていました。

また、LDKの一部の壁紙の変色についても同様に、すべての壁紙を交換。床の一部の変色においては「部分張替えをすると床色にムラができすぎるため、部分張替不可」と美観が損なわれるからという理由で、LDKから玄関に続く廊下まですべて交換することになっていました。

そのほか、冷蔵庫、食器棚、テレビ台、本棚、収納家具のわずかな置き跡もペットの汚損と判断されて交換。さらに、壁紙の張り替えの際に天井のクロスが剥がれたので全面を張り替えるなど、到底納得のいく説明ではありませんでした。

ついにはオーナーと裁判に突入

その後も画像の掲示をした上での説明を繰り返し求めましたが、特に明確な説明もないまま月日が流れました。そしてある日、物件のオーナーから請求した額の支払いと、弁護士費用の支払いを求める訴状が届いたのでした。

すぐさまAさんも知り合いの弁護士に相談しましたが、考えた末に自分で対応することにしました。なぜなら、訴状の内容に反論できるだけの証拠や材料が手元にあったからです。原告の訴状や準備書面、陳述書などには虚偽や間違いも多く、そうした証拠なども提出しながら裁判で反論しました。

お互いの言い分を出し切ったところで、裁判官から「約20万円の修繕費の支払い」と「弁護士費用はそれぞれが負担」との和解の提案がありました。何度も裁判所に出向き、時間はかかりましたが、その提案はAさんの主張がほぼ通った内容でした。

反論すればまだ減額する余地はありました。しかし、これ以上裁判を長引かせるのは精神的にも負担だったため、Aさんはこの和解案で決着することにしたのです。

ペット可賃貸住宅の場合には、ペット起因の汚損の修繕費は「借主の全額負担」としている契約が多いようです。そのため、ペット起因の汚損であるか、そうでないかを説明、証明できるようにしておく必要があります。理不尽な多額請求に泣き寝入りしないために、どのような備えが大切なのでしょうか。

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