ペット可物件に潜む「高額請求トラブル」の不条理 いきなり送られてきた「70万円の請求書」の衝撃
①国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を読んでおく
賃貸物件における傷や汚れの種類は「経年劣化」「通常損耗」「特別損耗」の3つに分けられます。
「経年劣化」とは年月が経つことにより増えていく傷や汚れのこと。「通常損耗」は借主の故意・過失ではなく、通常の生活を送る中で生じた物件の傷みのことで、たとえば家具や家電の設置をしたことで起こる床のへこみ、変色などが当たります。
そして「特別損耗」は借主が注意すれば防げた傷や汚れのことで、ペット起因の汚損はこれに当たります。Aさんが事前に支払うと申告したのはこの特別損耗に当たります。
ガイドラインには貸主・借主の負担をどう考えるべきかが記載されているので、知っておくと交渉時や訴訟時に役立ちます。
②不動産会社・管理会社とのメールのやり取りは残しておく
賃貸借契約書にはないことをメールなどでやりとりしている場合があります。トラブル時には、言った、言わないの水掛け論になりがちなので、できるだけ業者とのメールのやり取りは残しておいたほうがいいでしょう。ちなみにAさんの場合、すべて残していたため、それが証拠となり、反論材料として役立ちました。
③引越し前に部屋の色々な場所を撮影しておく
引っ越し前に写真を取っておくことも重要です。Aさんの場合、通常損耗もペット起因の汚損と判断され、全額請求されました。
事実を証明する際、家具の配置やペットの飼育環境がわかるような画像はひとつの証拠となります。AさんはSNSなどに度々、画像を投稿していたので、それをもとに室内の間取り図を作成し、反論しました。
また、引っ越しの荷物を運び出した後も、写真を撮ることをおすすめします。Aさんのケースのように、業者が証拠となる画像を見せない可能性もあります。
④「契約更新時」にも必ず契約書を確認する
入居前の契約時には、賃貸借契約書等にかかれたペット飼育に関する契約内容をしっかりと確認すると思います。しかし、契約更新時には以前と変わらない内容だろうと確認をせずに署名・捺印をして提出してしまう方も多いようです。
気を付けたいのは、この更新時に契約内容が変更されているケース。ペット飼育に関する契約内容は状況により変更されやすいので、見逃してしまうと退去時に思わぬ修繕費を支払うことになるかもしれません。
Aさんは高額請求トラブルと訴訟のせいで、愛犬・愛猫と過ごした大切な時間が“嫌な思い出”に変わってしまったと言います。「同じ思いをする人がひとりでも少なくなるように参考にしてもらえたら」と話していました。
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