イーブイの動画の中でたびたび耳にする言葉がある。それは、「本人が困っていないのであればそのままでもいい」というものだ。しかし、その条件は、その家が“ゴミ屋敷”なのか“モノ屋敷”なのかで大きく変わってくる。
「例えば、11人の家族が住んでいた前回記事の家は典型的な“モノ屋敷”です。今回の場合は生ゴミが多く、ゴキブリやその他害虫も発生していますし、衛生的な問題から説得してでも片付けるべき“ゴミ屋敷”だと思います。本人からすれば“モノ”かもしれないですが、第三者から見れば完全に“ゴミ”ということもあるので。でも、モノ屋敷に関しては自分だけの問題です。本人や同居している人がストレスを感じていないのなら、無理にモノを捨てる必要はないと思っています」
電話越しに男性は「大家さんに片付けろと言われたから」と何度か繰り返した。見積もりにもなかなか行かせてもらえず、荷物の量を尋ねると「たかがしれていると思う。軽トラック1台でいける」と話していた。片付けの当日、初めて現場を訪れると、簡単な現場ではないことが見てすぐにわかった。
男性からの希望で、まだ使えそうな家具だけは残しておいてほしいという。ゴミで埋もれているので、まずは家具が見えるまでゴミを搬出し続ける。いつもは近隣への迷惑も考えて、部屋の中でゴミの仕分けを済ませるが、5時間後にはパッカー車(ゴミ収集車)が来てしまうので、量が多すぎる場合はそれでは間に合わない。
とりあえずゴミを袋に詰め、パッカー車が来たときに仕分けをすることにしたが、住宅街ではパッカー車をアパートの前に駐めておくわけにもいかない。近くの空き地を借り、そこまでゴミを1つひとつ運ばなければいけなかった。
ゴミを踏み続けて40年間生活
作業の終盤、予想外の事態が起きた。ゴミの山の上層は、小さな袋にゴミがまとめられていたので、比較的簡単に搬出することができた。男性いわく、下層には家具があるというので、上層さえ片付けてしまえばあっという間に終わるはずだった。
「想像していたのとまったく違ったんですよ。下層のゴミは袋に入っていなくて、この家全体がゴミ袋になっているような状態だったんです。それを40年間踏み続けているから、その圧でゴミがコンクリートのようにギチギチに固まっていました。さらに湿気も相まってより硬く、重くなっています。それを掘り起こして袋に詰めたら3倍くらいには膨らむので、かなりの量になります」
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