はじめにイーブイへ連絡をしてきたのは、大家の娘さんだった。母が所有するアパートにゴミ屋敷になっている部屋があるが、いくら片付けを頼んでも動いてくれないのだという。あいにく家の外にはゴミはあふれ出ていないので、強く言うこともできない。しかし、外から窓を見るとビッチリとゴミが詰まっている。
娘さんが幼い頃にこのアパートの前で遊んでいた40年前からこのような状態が続いており、近所では有名なゴミ屋敷なのだという。
家はあるけど、車の中で生活する日々
娘さんからのお願いで、イーブイの二見社長は片付けの説得から始めることにした。そこに住んでいる人がいる以上、大家からの依頼といっても本人の了承がなければ部屋に立ち入ることさえできないのだ。それに、依頼に対してお金を払うのは住人である本人だからだ。
「電話で話してみても、『自分でちょっとずつやっていくから』と言うだけでした。でも、片付ける様子はない。会社の役員をされていたので、お金に困っているわけではなく、費用を渋っているということでもありません。『僕たちを呼んでもらったほうが楽じゃないですか? 1回だけでも行ってみましょうか』と説得し、1カ月後にようやく片付けに入ることが決まりました」(二見社長、以下同)
というのも、住んでいる本人は部屋の様子にとくに困っているわけではなかったのだ。あるときまでは部屋で生活をしていたが、今は荷物を取りに帰るくらいで、ほとんど車の中で暮らしているのだという。車はアパートのそばではなく、わざわざ離れた場所に借りた駐車場に駐めていた。近隣の住人に見られるのが嫌だったのだろう。
「この仕事をやっているとわかるんですが、車の中で生活している人って実はすごく多いんです。わが社はゴミ屋敷をメインに取り扱っていますが、家ではなく“車の中を片付けてほしい”という依頼も定期的にあります」
今回のように、家はあるけれども車の中で生活しているという人もいれば、そもそも家がないという人もいるだろう。
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