風邪薬は「2つ目」に出る症状で選びなさい! 薬剤師が教える、意外と怖い「薬」の話
一方で、治ったからいいやと思ってやめてしまうことで、危険になる薬もあります。それは抗生物質です。
抗生物質は、風邪を引いたときなどにも、病院でよく出されますが、「もう治ったからいいや」と途中で飲むのをやめている方が多いようです。
抗生物質は出された日数使えば、菌がなくなるということを想定して出している薬です。つまり、まだ菌がいるうちに飲むのをやめると、その菌が残ったままになってしまう、ということです。これでは、一時的に症状は治まるかもしれませんが、その後、異常繁殖するおそれもあります。
耐性菌はややこしい
しかも、その抗生物質への耐性がついていますから、その抗生物質どころか、その抗生物質と同じグループの薬も使えなくなるので、使える薬が約3分の1なくなるのです。
抗生物質で恐いのは、耐性菌です。
細菌も人間も環境変化に対応して変わっていきますが、細菌は私たちの想像を超えるスピードで変わります。
人間は60兆個の細胞からできていますが、細菌は1個の細胞からできています。60兆個の細胞に比べ、1個の細胞が変わるのは早いのです。
抗菌薬にさらされた環境では、多くの細菌は死にますが、一部生き残りが出てきてしまいます。生き残りを調べてみると、薬が効かない菌であることがあります。
一つ代表的な例をあげましょう。マイコプラズマ感染症です。
マイコプラズマという細菌に感染することで起こるものですが、初期症状は風邪と似ています。発熱、全身倦怠感、頭痛です。3~5日経過すると、熱が下がってくるのですが、咳が始まります。この咳は3~4週間続きます。初期症状が風邪と似ているため、市販の風邪薬を飲む人も多いかと思います。しかし、咳が続くようになり、まだ風邪が治っていないと勘違いしてしまうことがあるのです。
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