部品在庫払底の電機業界、「5月危機」の深刻さ


 通常、カメラ工場では1~2カ月先の生産数量を予測して部品を発注するが、「震災後、一部メーカーからの受注量は絞り込まれたまま。開店休業状態がいつまで続くか見通しが立たない」と、ある部品メーカーは嘆く。

村田製作所やTDK、太陽誘電などの電子部品大手は、数多くの製品を手掛けるため、震災後は代替生産などで供給体制を整えた。だが、受動部品などは半導体とセットで実装されるので、完成品の供給が止まれば、おのずと部品の需要も減る。バークレイズ・キャピタル証券の越田優アナリストは「需給バランスが崩れ、今度は電子部品の在庫が膨らむおそれもある」と指摘する。

電機メーカーはいずれも、調達先見直しに伴う設計変更を進め、操業再開を急ぐ。しかし「生産が平準化するのは年末から来年にかけてではないか」との臆測がやまない。

たとえ回復したところで、かつてと同じ取引関係に戻れるとは限らない。海外メーカーの半導体を扱う商社は「1社偏重の調達体制の考え方が変わるのは間違いない」と断言。実際に震災後は問い合わせが増えており、「同じルネサスの半導体でも生産拠点が変われば別モノになる。テスト期間に数カ月かかるなら、欧米メーカーに変更してもおかしくない」。ほかにも、東北に生産拠点のある水晶デバイスなどは、欧米製のMEMS(微小電気機械システム)部品で代替できないか、海外メーカーは虎視眈々と狙っている。

日本が高い技術力を誇っていたはずの電子部品も今後シェアを落としかねない。未曾有の大震災は業界の力関係まで変えようとしている。

(前田佳子、伊藤崇浩 撮影:田所千代美 =週刊東洋経済2011年4月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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