「日本版スチュワードシップ・コード」(これは不出来だった)、「コーポレート・ガバナンス・コード」(こちらは「まあまあ」だ)などは、将来の「株主還元バブル」のための環境整備だ。たとえば、本業がよくわからない社外取締役などは株主還元的な財務行動の応援団の役割を果たすだろう。「ROEの高さを褒めよう」という機運もこの趣旨に沿うものだ。
「次のバブル」への動き着々だが、「即効性なし」に注意
そう思っていたら、『日本経済新聞』の4月25日朝刊のトップ記事は「役員報酬、自社株で」という見出しで、大林組やKDDIなど100社程度が年内に株価に連動する役員報酬を導入する動きにあることを報じた。「お手盛り」の環境整備は順調に行われている。
筆者は、ここ1~2年で、つまり米国の金融引き締めや2017年の消費増税など次の悪材料を乗り越えられるほどに、今回述べたムーブメントが急激に立ち上がるとは予想していない。だが、今後10年くらいの期間にわたって、有力な株価上昇材料になるのではないかと考えている。
「日経平均4万円」といった状況が意外に早く実現するとすれば、経営者を株主が買収することに成功することによって作られる「株主還元バブル」によるものではないか。
ただし、繰り返すが、これは遠からず遭遇するはずのいくつかの悪材料を払拭するような即効性を持った材料ではない。投資家は十分慎重であるべきだ。
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