次の「本格的バブル」はいつ始まるのか 日本株、今はまだ「最終局面」ではない

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社長になっても地味な報酬であれば、社長により長くとどまろうとするし、倒産リスクを減らしたいだろうし、銀行に大きな影響力を持たれたくないと考えるので、日本の企業は、大きなリスクを取らない経営をしようとするし、現金性の資産を社内に蓄える。

自らと株主のために、社長が率先して株主還元に

しかし、日本企業が、金融資産を自社株買いに使うなら、資本をスリムにしてROEを上げることができるし、社長がストック・オプションを持っているなら、直接的に株価上昇の恩恵を受けることができる可能性が大きい。

株主としては、経営者をより株主の利益に向かわせるために、経営者に大きな報酬のインセンティブを与えて、いわば「経営者を買収する」。

 日本の社長さん達がその手に乗ってくれるかどうかだが、もともと彼らは近年社員の給料が下がる中でも自分達の報酬を増やしてきたくらい、十分に強欲だ。他社の社長も高額報酬を取っているという「横並びの事実」があれば自分の高額報酬に恥じ入ることなく、自分と株主のために株主還元に励むだろう。

金融・証券界としても、企業が自己資本を薄くして必要が生じる都度ファイナンスを行ってくれることは、悪くないビジネスチャンスだ。株式の委託売買手数料が低下した今日、発行市場でのイベントを増やすことがビジネスチャンスになる。

株主が経営者を買収して「株主還元バブル」を起こすことは、株主・経営者・金融界の何れにとっても好都合だから、時期はともかくとして、何れは実現するのではないか。

その先には、「日本版スーパーCEO」と「平民社員」(大半の読者の将来像だ)との「格差」が改めて問題になることや、自己資本をスリム化することのリスクの顕在化、それに株主還元だけを理由に上がる株価に所詮上限があることなどは、今から読み筋に入れることができる。だが、当面の関係者にとってはかなり先のことであり、一儲けするチャンスは十分ある。

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