次の「本格的バブル」はいつ始まるのか 日本株、今はまだ「最終局面」ではない

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筆者は「株屋」(=証券会社の社員)なので、相場について複数のストーリーを考えなければならない。

現時点でホンネのメインシナリオは「PER20倍以上(日経平均で2万1000円以上)は長期的に高いし、今年後半の米国金融政策の引き締めへの転換の影響は日本株にも及ぶだろう」というものなのだが、「株価が意外なほど上昇する可能性とその理由はないか?」ということを考えるのも、仕事の内なのだ。

もし、これから「より本格的なバブル」を作ろうとするなら、有力なテーマは「株主還元バブル」ではないかと思い至った。 

「株主還元バブル」のレシピとは?

レシピはおおむね、次のようなものだ。

(1) 日本企業の経営者の報酬を、株価・ROE・EPS(一株利益)など株主の利益を増やす数字に強く連動させるよう促す。

(2) 上記を促すために、日本企業の経営者の実質的な報酬水準を上げる。

(3) 企業の経営者間で報酬を横比較させて競わせる。

(4) 経営者は自社株買い・増配などの「株主還元」を強化・拡大することで自分の報酬を増やす。

(5) 株主還元を増やし、ROEを上げるような経営を称揚するための「コーポレートガバナンス改革」を社会的に後押しする。

いわば、これまで「社員の長」として地味な報酬に甘んじてきた日本企業の社長さん達の目の前に、ストック・オプションやROEの目標をぶら下げて、米国企業のスーパーCEO的な報酬への夢を持たせるのだ。

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