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「売り込み」ではなく「発信」で仕事をつくるコツ 「やりたい」から逆算するDX時代のキャリア戦略

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  • 佐宗 邦威 多摩美術大学特任准教授、戦略デザインファーム「BIOTOPE」代表
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WhatやHowは、今の時代、心に響かなくなっているように感じる。だからこそ「本当にやりたいこと」について、理由やビジョンも含めてエモーショナルに語る必要があるのだ。

BtoBの仕事についても「そういえば、〇〇さんがあれをやりたいといっていたな」と思い出し、スタートするケースは増えている。日立製作所のデザイングループなどはやりたいことをオンラインで発信するようになっている。

大風呂敷を広げる必要はない

やりたいことを発信するときの起点となるのはSNSだ。リモートワークが当たり前の時代では、経営者も企業に属する社員も、どんな立場の人も、新しい仕事をものにしたいなら、ネット経由で自ら発信しなければならない。企業のDXが進めば進むほど、ネットワーク化が強固になっていくので、過去のモデルに戻ることはないだろう。

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だからこそ「やってみたい!」があれば、待つのではなく、自分からアプローチすることだ。ここで大切なことは、継続性だ。思いつきで発信すること自体が悪いわけではないが、相手に理解してもらうには、オーセンティシティ(Authenticity=本物)があることが求められる。

自身が、等身大の言葉で、やりたいことを発信する。背伸びをしたり、本心とは違う発信をすれば逆効果にもなりうるだろう。「環境問題に取り組みたい」と発信しているのに実生活ではリサイクルもしていないようでは、言動不一致になり、信用されない。

企業においても、綺麗事のパーパスを並べても、実践できていなければ叩かれる時代だ。環境意識の高い消費者に誤解を与えるようなことを指す「グリーンウォッシュ」という言葉もあるくらいで、消費者の目は厳しい。

大風呂敷を広げるような大きな発信を行う必要はない。「ビジョンが小さすぎるのでは?」と思っている人もいるかもしれないが、むしろ偏愛ぶりが見える個性的なビジョンのほうが熱を帯び、多くの人が集まってくるものだ。

2020年にオープンした「eyecurry/Nudge」は軽井沢に移住した夫婦が営む(写真:eyecurry/Nudge)

たとえば、軽井沢の近所に数年前にオープンしたeyecurry/Nudgeというカレー店がある。

コンセプトは、「カレー屋の顔をしたサードプレイス」。お客さんが寛げるような場所にしたいという思いから、「日本一回転率の低いカレー屋」をめざしているという。

実際に、うちの家族は、そのお店が大好きでついつい予約を入れては長居をしてしまう。お店のコンセプトである回転率の低さに貢献をしてしまっているわけだ。そんなお店のコンセプトに共鳴してかはわからないが、地元でも人気を集めている。我が家も友だちの家に夕食を食べにいく感覚でよくお邪魔している。

「日本一おいしい」といった大きなビジョンを掲げなくてもいい。身の丈に合った嘘のない「らしい」スタイルでいることで、むしろ自然と人が集ってくるのだと彼らを見ていて思う。

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