「考えない日本人」だらけになった日本企業の末路 イノベーションが生まれなくなった根本原因

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大学を卒業して社会に出ても「言われた通り」にしか動けない人が多いといわれています(写真:Fast&Slow/PIXTA)
精神科医の和田秀樹氏は、日本人の多くが、大学生のときは「教授の言う通り」、会社に入ってからも「言われた通り」であるため、新しいことに挑戦するときに使う「前頭葉」が鍛えられていないという。そして、そのことが、日本企業の苦境を招いていると指摘する(本記事は、和田秀樹『50歳からの「脳のトリセツ」』の一部を抜粋・編集したものです)。

社会に出ても「言われた通り」を続ける大人たち

前頭葉を使う教育がなされないまま大学を卒業した人たちが、そのまま就職して社会を営んでいるのが、今の日本です。

既得権益を愛する年長者と、従順な年少者との密着――つまり「言われた通り」に動く人が出世する構図が、政界や学界はもちろん、企業の中にもはびこっています。「偉い人」に逆らわないよう神経をとがらせたり、異論や提案があっても発言しなかったりと、多くの働き手が前頭葉を働かせない思考や行動に流れています。

言われた通りにしているだけでは、新しいアイデアをつくりだす機会がありません。

「起業して成功するには」「新規事業を軌道に乗せるには」「停滞を打破するために新しい手法を考えよう」など、新しさや創造性を伴うことを考えれば、前頭葉は大いに働きます。しかし残念ながら、日本の組織ではこうした思考をめぐらせる人より、立ち回りの術に秀でた人のほうが出世しやすくなっています。それが、日本企業の苦境を招いた原因だと私は考えています。イエスマンが集まる組織は、いずれ衰退するものだからです。

イエスマンを周りに侍らせて悦に入る「偉い人」と、その人に従うイエスマンたちが、日々、互いの前頭葉を衰えさせながらビジネスチャンスを棒に振っている――この馬鹿げた構図を、そろそろやめにしなければなりません。

そのカギを握っているのが50代です。多くの方が管理職として、周囲の人たちに影響を与えられる立場にいるでしょう。そこでの自分の思考や行動を変えることで、会社を変えていくことは十分に可能です。

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