「デリカミニ」乗ってわかったホントのところ キャラ推しでも走りはしっかりデキは上々

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ekクロススペースのほうがデリカD:5に似た顔つきだったが、デリカミニのほうが三菱車らしい顔つきに見えるし、アウトドア訴求という開発におけるコンセプトも明快に思える。

ただし、三菱は「デザインだけが良好なセールスに寄与しているのではない」としている。クルマそのものに気合いが入っているのだ。1つはパッケージング。もう1つはエンジニアリングである。

広々とした空間に左右独立スライドのリアシートによるパッケージングの妙(筆者撮影)

専用開発の足回りは良好

ドライブトレインは、全車マイルドハイブリッド(MHEV)。小型モーターを使い、ごく低回転域から実用トルクが上乗せされるうえ、燃費にも貢献する。

エンジンはもちろん659ccの3気筒で、「T」グレードではインタークーラー付きターボチャージャーが備わる。はたして、これが十分にパワフルだから頼もしい。高速道路の追い越し加速で、力不足を感じる場面もなかった。

試乗したのは、4WDのほう。センターディファレンシャルギアにビスカスカップリングを使う方式で、ベースは前輪駆動だが、低負荷時でも100%前輪駆動になることはないという。

「未舗装路でも快適に、が念頭にありました」と、商品戦略本部で商品企画を担当する今本裕一マネジャーは、試乗会場で説明してくれた。

そのために、大径タイヤと専用ダンパーを新開発。4WDモデル専用に、15インチホイールと組み合わせた165/60タイヤを用意した。タイヤ自体の直径は579mmとなり、前輪駆動モデルに対して、16mmの拡大だ。

ベース車両となる「ekスペース」よりも明らかに車高が高い(筆者撮影)

16mmという数字では大きく感じられないけれど、エンジニアにはこのタイヤがボディ側と干渉しないように、ホイールハウス内に手を入れている。

「扁平率が55%(FWDモデル)から60%に上がっただけで、ハンドリングへの影響は大きく出る」と三菱のエンジニア氏。はたして、高速道路の車線変更時でも頼りなさを感じることはなかったし、未舗装路でも突き上げは感じられず(砂利道を走った程度だけど)、ハンドリングが損なわれていないのに感心した。

ダンパーの設定にしても、「縮み側を弱め、伸び側を強めました」(開発エンジニア)として、砂利道、一般道、高速道のどこでも印象が変わらないように努めたそうだ。実際、そのとおりの印象だった。

乗員の頭が揺れない、いわゆる“フラットな姿勢”が実現しているのだ。上質感のある乗り心地といえる。上手なセッティングだ。

エンジンは、3500rpmを超えるとことさら存在を主張しはじめる(つまり、うるさくなる)けど、それ以下であればノイズのレベルは低い。高速道路上でも、うまく騒音が“丸めて”あって、うるささが突出していない。

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