「デリカミニ」乗ってわかったホントのところ キャラ推しでも走りはしっかりデキは上々

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未舗装路を4WD車の焦点にしたのは、先にも触れたとおり、ターゲット層のキャンプへの嗜好が強いから。未舗装路(と積雪路)を考慮して、電子制御リミテッドスリップデフの働きをする「グリップコントロール」も4WDに搭載する。

片輪が空転しても、そこにブレーキ制御を行うことで、もう一方の車輪にトルクが伝達される。それによって、悪路での脱出力を高めているのだ。

スライド幅の大きいリアシート。後席のステップ高は400mm(2WDは370mm)で乗降性も良い(筆者撮影)

後席シートが左右それぞれ前後に320mmスライドする機能は、実生活でだいぶ役立つだろう。なにしろ、後ろに下げれば、前席と後席に座っている乗員のあいだにも、かさのあるものを載せられる。

後席に人が乗るなら、レッグルームはロールスロイス「ファントム」より広いほど。室内の天井高だって1400mmもあるから、窮屈さは一切ない。

ただし、フットレストはないので、法規的に問題がなければ自分で用意したい。毛足の長いカーペットに裸足を乗せる気持ちよさを味わえるのは“ロースルロイスの特権”みたいに言われているが、デリカミニで同様の楽しさを味わってもいいではないか。

ADASの制御も良好。買うならどのグレードか?

私が乗った4WDの「Tプレミアム」なるグレードは、「MI-PILOT(マイパイロット)」という高速道路同一車線運転支援機能を備えていた。設定した速度で、高速を延々と走っていくときに便利な機能で、先行車がいれば一定距離を保つし、カメラが車線を認識してカーブもきちんと曲がっていってくれる。

Tプレミアムの運転席まわり。シートはクッションに厚みがあり”いい感じ”だ(筆者撮影)

ただし、手放し(ハンズオフ)には対応していないので、しっかりとハンドルを握って運転姿勢を保つ必要がある。でも、十分にラクチンだし、それぐらいはやってもいいでしょう。

シートのクッションは厚みが感じられ、(そんな長時間ではなかったものの)オシリが痛くなることはなかった。純正ナビゲーションシステムを含めた操作類も、使い勝手がよい。

個人的には、プレミアム系グレードに用意されている後席ウインドウ用のロールサンシェードが、大変ありがたい。輸入車だと、プレミアムクラスでもオプションでしか用意されていないからだ。

上級グレードに標準装備される後席用のロールサンシェード(筆者撮影)

というわけでデリカミニ、全方位的によくできている。価格はノンターボの「G」2WDの180万4000円から、ターボ「Tプレミアム」4WDの223万8500円(今回の試乗グレード)まで。

装備や走り、そして小さなデリカというキャラクターを考えれば最上級グレードを選びたいところだが、「G」2WDでも十分にデリカミニの楽しさは味わえると思う。

<三菱 デリカミニ T Premium>
全長×全幅×全高:3395mm×1475 mm×1830mm
ホイールベース:2495mm
車重:1050kg
パワートレイン:659cc 直列3気筒ガソリン(マイルドハイブリッド)4WD
最高出力:47kW/5600rpm
最大トルク:100Nm/2400~4000rpm
変速機:無段変速機
燃費:17.5km/L(WLTC)
価格:223万8500円
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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