池上彰さんが考える「教養」がある人とない人の差 「ただの物知りじゃない」教養を武器にする子育て

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勉強ができていい学校に入れる頭脳の持ち主なのに、まともなご飯を食べることには無頓着で不健康な暮らしをしている人が周囲にいませんか? 言っていることは正論だけれど、人を思いやることなく徹底的に論破するので周囲に敬遠されがち、なんていう人もいますね。

知識があってもそれを行動に結びつけられない――教養がないと、こういうことになってしまうのです。

教養とはいわば、生きる力です。

これから社会に出ていく子どもたちにはぜひ教養を身につけてもらいたいし、親御さんはわが子に教養を身につけるように働きかけてあげてほしいですね。

銀行に預けたお金は金庫にしまわれている⁉︎

教養は単なる物知りではありません。しかし、土台になるのはやはり知識です。知識がなければ、それをつなぎ合わせてよりよい行動に結びつけていくことはできません。

(画像:『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』)

以前出演した番組で、若い人たちに「日本のGDPは世界で何位だと思う?」と聞いたことがあります。すると「100位ぐらい?」と答えが返ってきました。

少し前まで日本の経済規模はアメリカに次いで2位、今は中国に抜かれて3位というのは、私の中では常識レベルの知識なのですが、彼らには「日本はそんなに豊かな国じゃない」という意識があるようです。3位と聞いてびっくりしていましたが、私のほうが驚いてしまいました。

大学生と銀行や債券の話をしていて、話がかみ合わないこともありました。「もしかして、銀行に預けたお金は金庫にしまい込まれていると思っているの?」と尋ねたところ、「違うんですか?」とこれもまた驚かれました。そろそろ世の中に出ていこうという年齢なのに、顧客が預けたお金を貸し出すという、銀行の基本的な役割を知らない。

(画像:『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』)

「銀行でお金を借りるのは貧しいからだ」と思っているようで、定収入があるなど返済の見通しの立つ人にしか貸しませんよと説明すると、へぇーと感心します。銀行に借金ができる人にはそれなりの社会的ステイタスがあるという知識がなければ、住宅ローンを組むことだって躊躇するかもしれません。

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