池上彰さんが考える「教養」がある人とない人の差 「ただの物知りじゃない」教養を武器にする子育て
クイズ王者に教養があるとは限らない
私の学生時代は、勉強していい学校へ行き、給料のよい会社に入ることが成功のロールモデルでした。もちろん今でもそれは一つの生き方ですが、デジタル化、グローバル化が進む現代では、選択肢はもっと広がっています。
ブログや動画の広告収入で暮らしていくとか、海外で起業してオンラインで仕事をするなどという、以前は想像すらできなかった生き方が珍しくなくなりました。教育現場にはディスカッションや調査レポートを重視するアクティブラーニングが導入され、講義形式の授業に慣れている親御さんたちをとまどわせています。
しかし、どんな時代にあっても、幸せに生きるために身につけておきたいものがあります。それが教養です。
教養は、人生で困難にぶつかった時、助けてくれる人や情報にたどりつく道しるべになります。教養を身につけることでバランスのとれた行動がとれ、社会的に信頼される人にもなります。周囲から好意的に見られることで、自己肯定感も高まることでしょう。どんな時代にあっても、教養は人生のさまざまな局面で強い武器になってくれるのです。
では、教養とはいったい何でしょうか。
それは「知識の運用力」だと、私は考えています。
学校でいろいろなことを学ぶ。本を読む。子どもたちは日々、いろいろな知識を吸収しています。しかしそれではまだ、教養とは言えません。インプットされた知識を暮らしに生かし、つなぎ合わせてよりよい行動につなげていく。それが教養です。
教養は、単なる物知りではない。クイズ番組で全問正解できたからといって、必ずしも教養があるということではないのです。
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