池上彰さんが考える「教養」がある人とない人の差 「ただの物知りじゃない」教養を武器にする子育て

拡大
縮小
池上氏は、教養とは「知識の運用力」だと語ります(画像:『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』)
この記事の画像を見る(5枚)
「子どもには、充実した幸せな人生を送ってほしい」
親なら誰でも、そう思うことだろう。しかし変化の激しい時代にあって、子どもが幸せに生きるためには何が必要なのか、どうすればいいのかを見失っている親は少なくない。NHK「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍したジャーナリストで、新著『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』を上梓した池上彰氏は、子どもたちにぜひ教養を身につけてほしいと話す。池上氏の語る「教養」とは、どんなものなのだろうか。

クイズ王者に教養があるとは限らない

私の学生時代は、勉強していい学校へ行き、給料のよい会社に入ることが成功のロールモデルでした。もちろん今でもそれは一つの生き方ですが、デジタル化、グローバル化が進む現代では、選択肢はもっと広がっています。

ブログや動画の広告収入で暮らしていくとか、海外で起業してオンラインで仕事をするなどという、以前は想像すらできなかった生き方が珍しくなくなりました。教育現場にはディスカッションや調査レポートを重視するアクティブラーニングが導入され、講義形式の授業に慣れている親御さんたちをとまどわせています。

しかし、どんな時代にあっても、幸せに生きるために身につけておきたいものがあります。それが教養です。

教養は、人生で困難にぶつかった時、助けてくれる人や情報にたどりつく道しるべになります。教養を身につけることでバランスのとれた行動がとれ、社会的に信頼される人にもなります。周囲から好意的に見られることで、自己肯定感も高まることでしょう。どんな時代にあっても、教養は人生のさまざまな局面で強い武器になってくれるのです。

では、教養とはいったい何でしょうか。

それは「知識の運用力」だと、私は考えています。

学校でいろいろなことを学ぶ。本を読む。子どもたちは日々、いろいろな知識を吸収しています。しかしそれではまだ、教養とは言えません。インプットされた知識を暮らしに生かし、つなぎ合わせてよりよい行動につなげていく。それが教養です。

教養は、単なる物知りではない。クイズ番組で全問正解できたからといって、必ずしも教養があるということではないのです。

次ページ教養とは生きる力
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT