知られざる国際弁護士軍団、FMLCって何だ? 重要性高まる国際金融規制の調整役

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ロンドンに拠点を置くFMLCの知名度は高くないが、その重要性はかつてないほどに高まっている(photospo/PIXTA)

グローバル金融市場の規制に関連する機関の名称はアルファベットの頭文字だらけだが、その中でFMLC(the Financial Markets Law Committee)はあまり目立つ存在ではない。20年前に英中央銀行の取り組みに端を発して発足した委員会だが、ロンドンにしか拠点を持たず、また委員のほとんどが弁護士であり、大多数の銀行は名前すら聞いたことがないのが現状だ。だが、FMLCが提供するサービスの重要性はいまだかつてないほどに高まっている。

金融市場で将来のリスクとなりうる、法的に不明瞭な部分の解決法を提案するのがFMLCの使命だ。先日発表された同委員会の報告書にもあるように、世界金融危機以降に導入された規制は、多くが十分に練られておらず、あるいは国により異なる部分があり、法的に混沌とした状況を生み出してしまった。

金融規制は地域ごとにバラツキがある

銀行の資本要件を考えてみよう。バーゼルIII合意は、これを順守することで全銀行の流動性を向上させ、リスクの原因となるレバレッジを下げた。ところがこの合意は、世界のある地域では確固たる標準と見なされているが、別な地域では最低限の基準でしかなく、追加のルールを加えるものと考えられている。これでは規制逃れを助長してしまう。

米国と対照的に、欧州連合(EU)はレバレッジ比率を監督上の追加オプションととらえている。また米国、EUともに銀行の自己勘定取引は禁止するものの、その定義がそれぞれ異なっている。

デリバティブ市場改革においても米国とEUとではバラツキがあり、これによりG20が設定した契約の標準化や透明性の向上などといった目的は損なわれる可能性があるとして、金融安定理事会(FSB)も警鐘を鳴らしている。さらに悩ましいことに、導入された相互評価の手続きはほとんど、あるいはいっさい問題の解決策にはなっていない。

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