TikTok「高齢者インフルエンサー」増えている実情 91歳、老人ホーム住まいの女性にもスポンサー
ブランドは5000人程度のフォロワーを持つクリエイターを探すことが多い。これらのいわゆるナノインフルエンサーは、コメント欄でフォロワーとかかわり合う可能性が高く、そのアカウントに”本物らしさ”を与えるからだとクルーシーは説明する。
また、これらのアカウントは、無料サンプルをもらったというだけでクリエイターが製品を紹介することもあるため、安価なマーケティング手段にもなり得る。アップフルエンスで契約を結んだ約半数には報酬として製品を無料提供するが、金銭の支払いはしていない。
有償のクリエイターは、ブランドの広告コンテンツを制作することで、数百ドルから数万ドルを稼ぐことができる。報酬は、投稿作成にどれだけの労力がかかるか、どのプラットフォームで何回投稿されるか、そのイメージを企業が別の場所で使用できるか、クリエイターのフォロワー数がどれくらいかなど、さまざまな要因によって決まる。
広告収入だけで生活するのは難しい
しかし、クリエイターの年齢に関係なく、大半のクリエイターにとって収入は生活していくのに十分なものではない。アップフルエンスのスポンサー付き投稿の平均支払額は348ドルで、2022年の最終四半期の平均支払額より44%増加しているとクルーシーは述べている。
クルパのTikTokアカウントを管理する孫によると、彼女が数少ないスポンサー付き動画で得たお金は、植物、宝くじ、服などの「楽しい」アイテムをカバーする程度のものだ。クルパ自身は取材に応じなかった。
TikTokは、高齢者にとって視聴者を作り上げることが最も簡単なプラットフォームだとクルーシーは言う。フィードにはユーザーのフォローしているアカウントだけでなく、ユーザーの関心に基づいたコンテンツや、以前視聴したことのあるアカウントと似たアカウントが表示されるからだ。
10代の若者は、自分とまったく違う容姿の人をフォローしようとは思わないかもしれないが、彼らが好む動画を見せられて、そのクリエイターをフォローし始めるかもしれないとクルーシーは言う。「人ではなく、コンテンツが重要なのです」。