TikTok「高齢者インフルエンサー」増えている実情 91歳、老人ホーム住まいの女性にもスポンサー

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こうしたクリエイターは、人生の教訓やファッションのヒントを共有したり、料理をしたり、孫と交流したり、ただ面白いというだけで(もちろん商品の宣伝もしながら)成功を収めている。

「高齢のインフルエンサーは最近ぽっと人気が出た」とカルウォウスキーは言い、この1年から1年半で「その人気は加速している」と付け加えた。

大多数のインフルエンサーにとって、これらの単発仕事から得られる収入は退職するのに十分ではないが、晩年の収入を押し上げ、投資できるほどのお金さえもたらす可能性がある。

毎日の服装を投稿していた62歳

元DKNYジーンズ・インターナショナルの社長で、つい最近までコンサルタントとして働いていたジム・タン(サンフランシスコ在住の62歳)は、ファッション業界で管理職を見つけるのに苦労していた。1年半ほど前、23歳になる娘のマイア・ミラーが、ファッション業界とつながる別の方法として、タンに今日の服装(ソーシャルメディア用語でOOTD)をTikTokでシェアすることを提案した。

レガシーブランドから新進気鋭のブランドに至る、シンプルでスタイリッシュ、エイジレスな服の着こなしにより、タンは3カ月で1万人のフォロワーを獲得。半年後には企業から声がかかるようになった。現在彼女は20万人以上のTikTokフォロワーとタレント・エージェントを持ち、TikTok外でのモデル稼業としてはヘアケア大手クレアロールの最近のグローバル広告キャンペーンに出演している。

この仕事は儲かるし、すぐにやめるつもりはないとタンは言う。「退職後のための経済的な準備が十分でなかったことは確かです」。彼女は老後の資金を貯めるほかにも、住宅ローンや下の子の大学の学費も払っている。

タンの成功は一般的ではなく、むしろ例外だ。それでもブランドの代理となる高齢者にチャンスがあると言えるのは、その年齢カテゴリーにライバルとなるクリエイターが少ないからだ。そう話すのは、アップフルエンスの共同CEOであるケヴィン・クルーシーだ。同氏の会社では、インフルエンサーを見つけたい広告主のために450万人ものソーシャルメディアクリエイターを管理している。

4月中旬の時点で、アップフルエンスのリストには60歳以上のクリエイターが約2700人しか登録されておらず、そのうちTikTokのアカウントを持っているのはわずか174人だった。また、その年齢層が圧倒的に白人女性で構成されており、「それ以外の人たちの存在感が全体的に薄くなっている可能性を示している」と指摘した。

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