ついに発表「トヨタ史上最大」のモノづくり変革 全固体電池を含む新BEV計画で変わる業界図

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一方で、コストを抑えた「普及版」も、パフォーマンス版とほぼ同時期となる2026~2027年の量産に“チャレンジする”とした。これは近年、中国で利用が進んでいるLFP(リン酸鉄系)を使うバイポーラ構造を採用する。bZ4X用の電池と比較して、航続距離は20%増、コストは40%減、そして急速充電能力は30分となる。

3つ目は、2027~2028年に実用化にチャレンジする「パフォーマンス版・バイポーラ」だ。この電池では正極にニッケルを使い、パフォーマンス版との比較で、航続距離10%増、コスト10%減、急速充電能力は20分となる。

注目の「全固体電池」にもチャレンジ

そして、4つ目と5つ目が、次世代電池の代表格として産業界から関心がとても高い「全固体電池」である。こちらも2027~2028年の実用化に“チャレンジする”とした。

トヨタは、2021年に「全固体電池をHEV用に量産する計画だ」と発表したが、その後のグローバルでのBEV市場の急速な変化を踏まえて、全固体電池をBEV用に使うことを決めたという。

展示された全固体電池(写真:トヨタ自動車)

全固体電池とは、正極と負極の間にある電解質を液体から固体に変えたもので、イオンの移動が速くなることで充電効率が上がるなどメリットがある。

トヨタは全固体電池を内製で研究開発しており、材料や構造について量産に向けた目途がつきつつあるようだ。その性能は、先のパフォーマンス版と比較して航続距離は20%増で、急速充電能力は10分まで短縮するという(コストは非公開)。

さらに航続距離を50%増、急速充電10分とした上級版の量産にもチャレンジするとしている。つまり、航続距離でみると、全固体電池の上級版の航続距離は、既存のbZ4X用電池と比べて3倍になる計算だ。

筆者は「急速充電での高出力化は、充電器の熱対策などまだ課題も多いのではないか」と聞いたが、この点について電池開発担当者は「指摘の通り、全固体電池のセル側や電池のマネージメントシステム側だけでなく、充電器を含めた充電全体に関するさらなる進化によって全固体電池のメリットが生まれる」という回答だった。

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