さらに周到なのは「質問しやすい雰囲気作りのきっかけ」を強調するために、具体的な質問内容を列挙している点だ。
・「イベントには私服で参加しても良いですか?」
組織ぐるみでサクラも、うまい謝罪で矮小化に成功か
確かに「学生のため」という側面も大きかっただろう。だが、本当にそれだけだったのか。
報道によると、問題のオンラインセミナーはリクルートの大学支援推進部(現:学生キャリア支援推進部)で起きたという。大学からの依頼で就職ガイダンスやエントリーシートの書き方など、就職活動の支援を学生に提供する部署だ。
オンラインセミナーの依頼主は、大学なのだ。サクラを行ったリクルートの社員たちに、依頼主である大学に「セミナーが盛り上がっているように見せたい」という思惑があったと考えるのが自然ではないか。
では、リクルートが「関心をもたれたくなかった」内容とは、どのようなものだったのか。
流出画像にあった「動物園を見事に手懐けていて素晴らしいですね」という発言からは、学生たちを「動物扱い」するような会話が日常化していた実態、さらには社風まで垣間見える。
あるいは、「サクラ」が大規模、かつ組織的に行われていたことをうかがわせる記述もあった。
サクラに言及する発言者の所属先も「関西グループ」「東海グループ」など広範囲にわたっていた。まさに「組織ぐるみ」でサクラが行われていたことがわかるのだ。
こうした「サクラ」の成果を上げるための使い方まで共有されていた。この記載からも「サクラ」が「リクナビの登録件数獲得のため」にも用いられていたことは明らかだ。
このように流出画像には、「質問しやすい雰囲気作り」のため以外の問題発言がいくつもある。だが、謝罪文では「学生の皆さまに対して不適切な発言を行っていたことが分かりました」とあっさり記してあるのみ。サクラによる質問項目まで具体的に示す姿勢とは、実に対照的だ。
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