アベノミクスで起きている「ある重要な変化」

「インフレ率2%達成」論議で見逃される本質

アベノミクスによって、大企業の設備投資意欲は復活しつつある。さらに「良い兆し」も見えつつある(写真:ロイター/アフロ)

日本銀行による量的金融緩和拡大が始まって2年が経過したが、金融市場ではその効果について、さまざまな議論が行われている。2014年以降の消費者物価の伸びが低下している中で、今後インフレ率のプラスが定着するのか、日本銀行が目指している脱デフレが実現するかについて懐疑的な見方も多い。

脱デフレ政策で復活した大企業の設備投資意欲

最近の消費者物価の伸びの低下は、原油価格の下落や、消費増税で日本経済に急ブレーキがかかったことが大きく影響した。ただ、2014年秋口からの循環的な景気回復が始まったことで、需給ギャップの拡大が止まり物価下落圧力は徐々に和らぎつつある。

労働市場の需給の改善がサービス価格を押し上げる中で、原油安による下振れが剥落してくれば、消費者物価は、多少の時間がかかっても2%前後までインフレ率が高まる可能性は十分あると筆者は考えている。

消費者物価の伸びの低下が続く中で、実は、脱デフレが日本経済の回復を後押しするメカニズムとして底流で働いている。一つは、企業のおカネの使い方である。法人企業景気予測調査によると、利益配分についての大企業の優先順位をみると、2015年3月調査で設備投資が1位となり、2位の内部留保を上回った。1年前の調査では1位が内部留保で、2位が設備投資となっており、順番が入れ替わった。

デフレ状況が続くという経済環境では、企業は内部留保を高めることを優先させることが合理的になる。ただ、インフレが続くという正常な状況であれば、企業による内部留保を蓄積してもそれは目減りする。

一方で、インフレ率の上昇が続くという期待によって「実質金利」が低下し、それが企業の設備投資意欲を高める。2014年度に景気は減速したが、年後半からの景気持ち直しで、大企業製造業を中心に設備投資を増やす意欲は強まっているとみられる。

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