人手不足が広がっていると言われている。
日本銀行が四半期ごとに発表する日銀短観の「雇用人員判断DI」は、企業からみた人員の過不足感を示しているが、2014年に景気回復が止まる中でも、人手不足感は強まり続けた。
失業率3.5%と人手不足の関係をどう読むか
直近の2015年3月調査短観においても、景況感の改善がわずかだった一方で、企業が一段と人手不足感を感じていることを示していた。こうした中で、「家計への調査」という側面もある失業率が3.5%まで低下しており、これ以上失業率の低下が見込みにくいという見方もある。
もし、失業率のさらなる低下に限界があり、マクロ経済全体で人手不足感が強まっているならば、日本経済はすでに「成長の天井」に接近しつつあり、総需要刺激を行ってもそれは実質成長率を高めずに、インフレ率を高めるだけになる。そうであれば、日本銀行による金融緩和など総需要刺激政策のメリットに、期待できないということになる。
2014年4月からの消費増税によって、経済成長率がマイナスに転じたことや原油安もあり、インフレ率の伸びは鈍化した。一方で、賃金動向と連動するサービス価格上昇率は、消費増税後も安定しており、年率1%前後のペースで緩やかに上昇している。ただ、2%のインフレ目標には満たない伸びである。ベースアップなどで名目賃金は上昇しているものの、伸びがまだ緩慢である。
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