米連邦準備制度理事会(FRB)においても、かつて金融緩和継続の一つの目安として、従来は6.5%の失業率をガイダンスとして定めたが、その扱いは曖昧だった。
失業率だけでは測れない、潜在的な失業者などの広範囲な労働市場の緩みに配慮した政策運営を続けた。今年3月米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、メンバーが想定する長期の失業率は5%前後まで引き下げられた。
すでに、FRBは利上げ開始のタイミングをうかがう段階にあるが、賃金などインフレ率の落ち着きを見ながら労働市場のスラック(=余剰感)が残っている可能性について、柔軟な判断を続けているとみられる。
失業率の低下想定なら、日銀の金融緩和は長期化へ
日本は、約20年ぶりにデフレからの脱却を目指している。インフレ率と失業率の関係がどのように変化しているかの判断は、米国よりも難しいかもしれない。であれば、FRBのように失業率の下限について、柔軟に想定して対応する必要がでてくるのではないか。
日本銀行は、2%のインフレ目標を掲げている。この目標実現へのコミットを続ける中で、失業率が1990年代年央以前の水準である2%台まで低下させる余地があることを認識しながら、今後金融政策運営が行われる可能性がある。
3月に就任した原田日銀審議委員は、「2.5%くらいが完全雇用の失業率ではないかと思っています」と、就任記者会見で言及している。
こうした認識を持って、日本銀行の政策運営が行われることは何を意味するか。かつてデフレ脱却に失敗した2000年や2006年のような尚早な金融引き締めを教訓と捉え、当時よりは、日本銀行による金融緩和が徹底され、かつ長期化するということだろう。
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