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やっぱり「生成AI」という言葉はやめたほうがいい 「対話型AI」は半導体の未来を切り開くのか

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同社の株価は急騰して、5月末には一時、時価総額が1兆ドル(約140兆円)を超えた。半導体企業としては初の快挙である。

現下のアメリカ株ランキングを見ると、本稿執筆時点(6月8日)で1兆ドルの大台を割り込んでいるものの、アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドットコムに次ぐ第4位を占めている。

株価急騰は好決算の後押しを受けたものだが、エヌビディアの強みは「AI向け半導体で世界シェア8割を握っている」ことだ。つまり「対話型AI」の発展には、この会社が欠かせない。The Economist誌(5月29日号)の記事の言を借りれば、「ゴールドラッシュの初期と同様に、採掘に必要なピッケルとシャベルを売る人たちはすでに幸運を手にしている」のである。

「パックス・ニッポニカ」になりかけた時代があった

筆者はたまたま5月の大型連休に、『半導体戦争』(クリス・ミラー著/ダイヤモンド社) を読んだばかりで、この議論をまことに興味深く感じている。このノンフィクションは、1958年にテキサス・インスツルメンツの技術者が「集積回路」を着想するところから始まる。まだ60年少々の歴史とはいえ、まさに山あり谷あり「大河ドラマ」の趣きがある。

この間、ずっと「ムーアの法則」(半導体の性能は2年ごとに倍になる)が持続したことは、一種の奇跡と言っていいだろう。なぜそんなことが可能になったのか。「つねに新しい需要が誕生して、開発がずっと続いてきたから」である。

当初、1960年代の半導体需要は、宇宙開発や軍事など政府が主体であった。それが1970年代になると、トランジスタラジオや電卓、ウォークマンといった消費者家電製品が多くなる。そこで使われるメモリ・チップは日本企業の独壇場となり、1987年のCIA(中央情報局)のレポートでは「パックス・ニッポニカ」が生まれつつある、などと指摘されたものである。

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【なぜ日本は覇権をとれなかったのか】

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