マイナ問題「利用規約」記された見過ごせない中身 特に重要な4項目をジャーナリスト堤氏が解説

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ここで大事なポイントは、規約というのは契約書と違い、双方向の合意ではないことです。だから第27条のように「これは政府にも国民にもメリットになるとこちらで判断したので、ルール変更しますよ」とできるわけです。

大事なことなので私も動画や新聞の連載記事などで知らせましたが、いまだにほとんどの国民は知りません。けれどネットの一部で騒がれていることを素早く察知した河野大臣は、すかさずこんな動画をアップしました。

「ネットでそういう心配が出ていることは承知していますが、一般的なインターネットサービスの利用規約と読み比べても、特に特殊な要素はないと思っています」

普通の民間サービスと同じ規約だから大丈夫!という河野大臣。ちょっと待って、本当にそうでしょうか?

たしかに、Facebookなどのソーシャルメディアや、携帯電話サービスの規約には、ほとんどの場合「何かあったら自己責任ですよ」と書いてあります。けれど民間サービスは、自己責任である代わりに、マイナンバーカードのように強制的に全国民に義務化させることはありません。

本来保護されるべき個人情報にアクセスできる国の公的サービスと、同列にはできないのです。クレジットカードなら、盗まれたら凍結させ、新しく別の番号をもらえます。

けれどマイナンバーは原則として番号が変えられないうえに、名前と住所と家族構成、年金や税金の支払い状況や、銀行の預金に生命保険に住宅ローン、所得に不動産、株といった資産情報、学校の成績から職歴、今までに受けてきた治療と飲んでいる薬の種類、公営住宅や失業保険、児童扶養手当をはじめとする各種手当の受け取り記録、犯罪歴まで含むので、悪用されたときの被害が比になりません。

今後マイナンバーカード機能のスマホ搭載が進めば、各種ポイントカードや図書カードなど、ますます多くの民間サービスが紐づけられていくでしょう。

政府は利便性よりセキュリティの徹底を

「デジタル化は待ったなしです」と政府もメディアもインフルエンサーも、口を開けばこう言います。でも焦ることはありません。

実際は、どこの国でも仮想空間という新しい世界の中で、手探りでデジタル化を進めているからです。逆にテクノロジーの進化が高速すぎて、人間のスピードが追いつけず、怖い副作用があちこちで問題になっています。

キャッシュレスが便利だからと手首にマイクロチップを埋め込んだスウェーデン人のある男性は、しばらくすると消費も行動もすべて記録されていることが、気持ち悪くなったと話してくれました。

「だって政府がいつでも国民の味方とは限らないだろう? トルドー首相がやったことを見たかい? あれで目が覚めたよ。コントロールは残しておかなきゃ。結局チップを取り出して、今は現金とクレジットカードの半々に戻したよ」

彼がゾッとしたというカナダの事例も、やはりショック・ドクトリンでした。

ジャスティン・トルドー首相は、コロナ禍をショック・ドクトリンに使った多くの為政者の1人です。国民にワクチン接種の強制や法を逸脱した行動制限を課し、市民が憲法違反を訴えると、首相はいきなり緊急事態法を発令し、デモ参加者の個人情報を基に、彼らの銀行口座を凍結したのでした。

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