――ウクライナへの支援は続くだろうか。
この問題をウクライナの利益の観点からだけ考えるべきではない。戦争はウクライナだけの問題ではない。世界の国がロシアの新たな侵略の標的になるのではないかと問う必要がある。バルト諸国やモルドヴァなどの国が標的であるとロシア高官も発言している。
シニカルな見方だが、欧州諸国の政治指導者は、ウクライナでウクライナ兵がロシア兵と戦うほうが、自国兵とロシア兵が戦うよりもよいと考えている。彼らにはウクライナ支援に特別の利益がある。他の選択肢はない。
われわれは自由と民主主義の価値に立脚した国々からの支援が必要だが、これらの国には豊かな自由民主主義のために戦ってきた歴史がある。それが逆転することは考えられない。
クリミア半島も含む領土を奪還する
――フランスのマクロン大統領による停戦を求めるなどの和平イニシアチブをどう評価するか。
第1にフランス大統領自身や、われわれが接触するフランス政府高官から、ウクライナの妥協のもとに戦争終結を求めているとは聞いていない。それは専門家の臆測であり、われわれが接触するいろいろなレベルでそういう話は聞いていない。
第2にウクライナが主権と領土保全に関して妥協することはない。ゼレンスキー大統領は、戦争を終結させるロードマップである10項目提案を示している。国連憲章に則って戦争を終わらせねばならない、との項目がある。ウクライナは国際的に承認された国境に基づき、領土保全を回復しなければならない。
専門家やジャーナリズムでは違った議論があるが、政府には当てはまらない。攻撃され、国民を殺され、国土を破壊されたウクライナが、ロシアに何かを与えねばならないとすれば、非常に不当だ。
――ただ、いつかは戦争から外交に比重を移さねばならない。
それは正しい。すべての戦争が外交交渉で終わる。
しかし、外交官の仕事は、ウクライナが交渉の舞台にできるだけ強い立場で着けるようにすることだ。交渉の結果は、戦場での結果に依存している。従って、重要なのは戦場でロシアを打ち負かすことであり、それにより最大限の結果を引き出すことができる。
ロシアは平和、交渉に興味を持っていない。ロシアは煙幕を張って、白黒をはっきりさせない国に対して、「ウクライナは平和を望んでいない」とミスリードを試みる。しかし、交渉直後に多くの”カミカゼドローン”で都市を攻撃する。
ロシアはウクライナが最後通牒を受け入れて初めて平和が実現するという。まじめな議論ではない。ウクライナほど平和を望んでいる国はないが、現実を見ざるをえない。
――奪回する領土にクリミア半島も含まれるか。
もちろんだ。クリミアとザポリージャ、ヘルソンに違いはない。すべてがウクライナの国土だ。
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