ウクライナへの戦闘機供与は慈善ではなく投資 外務省報道官が現地で語る「生存をかけた戦い」

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――ウクライナ軍、社会の士気はどうか。

軍の士気は高い。徴兵を逃れるために、多くのロシア人男性が国境に長い列を作っているが、ウクライナでは徴兵に応じるために列ができている。というのは、ロシア兵は例外を除き、いったい自分たちがウクライナで何をするのか理解していない。他方、ウクライナにとっては生存をかけた戦いだ。もし戦いをやめればわれわれは消滅する。

ウクライナ軍で司令官が「今日はここまで前進したのだから、数時間休憩しよう」と言っても、兵士は「いや前進したい。そのために戦っている」と答える。

2022年の攻勢で領土を回復したことが証明したように、支援を得られれば得られるほど、多くの結果を出すことができる。今回の反攻でもそうなることを望む。

ただ社会的な負担という意味では、多くの苦痛、争い、問題を生んでいる。1000万人以上が故郷を離れ、700万人以上が国を離れている。ロシア軍は町村を破壊し、灰にする。住民は住居を離れざるを得ない。多くの人が親族を失っている。わが国にとって大惨事であり、社会に巨大な否定的影響を与えている。

生存をかけた戦い。戦わねば消滅する

――戦争疲れや徴兵拒否が出ていることも聞いている。

その多くはロシアの言い分だ。SNSでロシアは多くの神経戦を展開している。確かに徴兵逃れのケースが100%ないとは言わないが、全体的に高い国土防衛の士気は維持している。国民すべてが兵士として戦うことを求められているわけではない。ビジネスマン、救護者などいろいろな貢献の仕方がある。

国民の戦争疲れは完全に否定する。繰り返すがこれは生存をかけた戦いであり、戦わねばウクライナは存在しなくなる。

――経済状況は悲惨ではないか。

戦争はすでに2014年のクリミア併合、ドンバス地方に対するハイブリッド戦争から始まっている。戦争状況にはすでにその時から適応している。ただ、2022年からの全面侵攻は違った局面となった。最も影響を受けた地域から多くの企業を避難させ、多くの国民が出国し、経済にいっそう打撃を与えている。

また、黒海の港湾の問題がある。そこから多量の輸出を行っていたが、ロシア軍がそれを妨害し、黒海からウクライナ南部への攻撃を試みるようになった。われわれはそれを撃退し、強力な防衛ラインを敷いたが、ロシア軍は依然として黒海で活動して航行を妨害し、「黒海穀物回廊」のほかは航行ができなくなった。

回廊取り決めの期限を迎え、ロシアはさらなる妥協を迫っている。もっとも、回廊によってウクライナは穀物約3000万トンを輸出でき、世界の穀物価格は5%下落した。アフリカ、アジアの国にとって大きなことだった。ロシアの要求を受け入れてはならない。

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