中国の本音?駐仏大使、ウクライナ主権に疑義の謎 西側諸国を分断する戦略から見ると逆効果

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中国の盧沙野・駐フランス大使(写真:Panoramic/アフロ)

中国の盧沙野・駐フランス大使が4月21日、クリミアをめぐる歴史認識を示した発言が大きな波紋を広げている。

フランスのニュース専門TV番組LCIネットワークに登場した盧大使は「2014年以降、ロシアが領土と主張するクリミアは国際法上ウクライナの領土では?」との質問に「そもそもクリミアは歴史的にロシア領だった」との歴史観を披露し、欧州諸国から一斉に批判を浴びた。

盧氏は、旧ソ連の国々については「主権国家としての地位を定めた国際的な合意はない」などと述べ、ソ連崩壊後、次々に連邦から独立した国々に国際法上の正当性はないかのような発言を行った。

バルト三国などは強く反発

この発言にウクライナだけでなく、ソ連を離脱し、独立国家として欧州連合(EU)に加わったバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)などは強く反発し、発言の撤回を求めた。

ラトビアのリンケービッチ外相は22日、「中国側からの説明と、この発言の完全な撤回を期待する」とツイートし、ウクライナ政府も旧ソ連から独立した国々が「国際法上、明確な主権を認められている」と述べ、大使の発言は事実に反すると不快感を示した。バルト三国の政府は駐在する中国大使を呼び、抗議した。

フランスでも反発が起きている。筆者の友人でもあるパリ在住のリトアニア人建築家のゴドフスキー氏は「クリミアが、もともとロシアだったという歴史は存在しない。大使の歴史に対する無知か、都合によって歴史観を平気で改ざんし、正当化する中国共産党の常套手段が露呈したとしか言いようがない」と批判した。

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