中国の本音?駐仏大使、ウクライナ主権に疑義の謎 西側諸国を分断する戦略から見ると逆効果
中国は今、ウクライナ和平のためにロシアに対して主要な役割を担っていることを自負している。西側諸国からの制裁で孤立を深めるロシアのプーチン大統領にとっては、中国は重要さを増す貿易相手国であるだけでなく、ロシア同様、アメリカからプレッシャーを加えられる中国は、西側敵視という点で一致点の多い友好国だ。
欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は「EUと中国の関係は、6月の欧州理事会の議題に上る」とツイートし、「EUの外相はボレルEU上級代表の下で議論を準備する」と明記した。同議長は盧大使の発言は「受け入れられない」と述べ、「EUは、これらの声明が中国の公式の立場を表していないとしか考えられない」と付け加え、中国への直接的な批判は保留した
過去にも物議を醸す発言がある盧氏
盧氏は過去にも物議を醸す発言をしたことがあり、その攻撃的なスタイルから「中国外交の“戦狼”の1人」(イギリスBBC)として知られている。彼は2021年6月にフランスのメディアに対して「中国を攻撃する狂ったハイエナ」が非常に多いため、この称号を与えられたことを「光栄に思う」と語った経緯もある。
ただ、西側の専門家たちは、大使の発言は個人的なものではなく、中国の本音であると考えており、中国が尖閣諸島に対する領有権主張や南沙諸島で実効支配を強める根拠として、西側とは異なった歴史認識で正当性を主張しているのと同じと指摘している。
フランスを引き込むことで、米欧および欧州諸国間の分断を図る中国の戦略からすれば、今回の盧氏の挑発的ともとれる発言は逆効果というしかない。ただロシア同様、統治を正当化しようとする姿勢が、歴史観に神経質なヨーロッパで露呈したことが、大きな意味を持つことは否定できない。
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