食料高騰を救う?ウクライナ・欧州間「新貨物列車」 ハンガリーに新物流拠点、農産物輸送のハブに

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ポーランド・ウクライナ国境の貨物列車
ウクライナ・ポーランド国境付近を走る貨物列車。ポーランドの電気機関車が牽引している(撮影:橋爪智之)
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オーストリア連邦鉄道(ÖBB)の貨物事業部門であるレールカーゴグループ(RAIL Cargo Group、RCG)は5月9日、ウクライナ鉄道(UZ)と共同でウィーン―キーウ(キエフ)間の新しい定期的なインターモーダル(複合一貫輸送)サービスを開始すると発表した。週1往復が定期ダイヤに組み込まれ、途中でハンガリーのブダペストとウクライナ国内のリヴィウに停車する。

このサービスは、海上輸送やアジア諸国へのルートを含む世界18カ国への貨物輸送を展開するRCGのインターモーダルネットワークを介し、幅広く各国への輸送を提供するとしている。もちろん、拠点となるウィーンおよび途中停車駅のブダペストにおいて、他のヨーロッパ各国への接続も可能となっており、輸出が不安定となっているウクライナ産農産物の輸送改善など、物流面においてウクライナとヨーロッパ間の懸け橋となることが期待される。

線路幅の違いで積み替えは必要

ウクライナの鉄道は、線路幅がヨーロッパ各国で一般的な標準軌(1435mm)ではなく、ロシアゲージ(1520mm)を採用している。そのため、RCGはウィーンからハンガリー・ウクライナ国境までの区間を担当し、ウクライナ国内はUZが引き継いでキーウまで運行する。直通ではなくウクライナとハンガリーの国境で積み替えは生じるものの、定期貨物列車の運行によりウクライナ―ヨーロッパ間の物流は大きく改善される。

RCGは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、集中的にウクライナを支援してきた。RCGは現在、ウクライナとの間に月100本以上の不定期貨物列車を運行し、同国から輸出される200万トン以上の農産物を運んでいるが、これはヨーロッパ各国の鉄道貨物事業者の中では最大の取扱量となっている。

ウィーン発キーウ行き旅客列車
ウィーン中央駅で発車を待つキーウ行き旅客列車。ロシアによるウクライナ侵攻後も旅客・貨物列車ともに運行が続いている(撮影:橋爪智之)
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