受験準備に最低1年は必要というのには、小学校受験の出題と四季が大きく関わることも理由の1つ。四季によって異なる植物、生き物、食べ物、天気、行事……といったことを基本的知識として知っているということが前提で出される問題が多くなる。
小学校受験では、中学、高校、大学の受験のような明確な出題範囲がない。まだ学校での「勉強」をしていない幼児なので、数字や文字も書けないという前提だ。その代わり、共通知識として求められるのが、四季の移り変わりや生き物や食べ物など生活に密接したこと、周囲の人との関わり、物事に取り組む姿勢や理解、ということになり、親の教養も試される。
共通範囲がないので、受験の試験内容は学校によってかなりの差がある。
一般的なカテゴリーとしては、
・行動観察(グループワーク、個別など)
・面接(親子、子どもだけ、親だけなど)
・運動
・巧緻性(工作、絵画など)
がある。
幼児に“常識的な”四季の知識を問う試験
学校によっては上記のうち1、2個の要素しかないところからすべての要素を試す試験が組まれているところまでさまざまだ。試験は、その学校が欲しい生徒をはかるためのプロセスであるから、その学校の方針が表れていると言えるだろう。
四季は、運動など以外のどれにも関わってくることがある。
ペーパー問題では、4つの花の絵から違う季節の花を選ばせたり、季節の食べ物を選ばせたりする。
面接では、家族で過ごした思い出や好きな行事を聞かれることもあるだろうし、工作や絵画では思い出の行事や好きな生き物の絵を描いたら背景や周囲に同じ季節のものが描かれているかが重要だ。雪遊びの絵を描いたのに、蝶々が飛び回ってスイカが地面にあったらおかしい、というわけである。
そういった“常識的な”四季の知識を問うのであるが、まだ5、6歳の幼児に生き物、行事、花、野菜、気候などを季節ごとに頭に入れておくのは簡単なことではない。
田植えから稲穂への成長、稲刈り、というプロセスが、お米ひとつから季節の移り変わりとともに連想できる幼児が、しかも幼児教室が集中する都心にどれだけいるだろうか。幼児には、茶碗によそった米を前にその変化を話しても、到底頭に入らないだろう。
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