日本発!「人工知能画像検索エンジン」の挑戦 アドクオリティが開発中の技術とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

現在31歳の松田CEO。その経歴はバラエティに富んでいる。学生時代は公認会計士を目指して勉強したが、その知識を基に株式投資で一財産を築くと、海外に飛び出してそのまま就職。一度帰国して証券会社のトレーダーなどを経験するが、今度はシンガポールで起業し、その後会社を売却している。両親ともに会社の経営者で親戚も医者などが多く、「起業は自然なことだった」と話す。

松田氏にとって、アドクオリティは2社目の起業だ。モルガンスタンレーや、IBMの勤務経験を持つエンジニアのメンバーと活動する中で注目したのが「ニューラルネットワーク」。人間の脳には多数の神経細胞(ニューロン)があり、これらが信号を伝えていくことによって情報を処理している。この仕組みをコンピュータで実現するものだ。

ニューラルネットワークをさらに何層も重ねるのが「ディープランニング(深層学習)」だ。これらのワードは2012年当時、さほど注目されていなかったというが、松田CEOには、いずれは誰かが取り組み、技術が活用される時代が必ず来るという直感があった。さまざまな論文を読みあさり、機械学習の中でどのような技術が使えるのか検証を続けた。「とにかく、作っては行き詰まることの繰り返しだった」(松田CEO)。

人工知能の市場はまだスタンダートがない

松田CEOの構想はアプリにとどまらない。さまざまな企業と連携し、人工知能の仕組みを生かしたサービスを広げていくつもりだ。

たとえば、余った食材を見せると、そこから調理できる料理を考えてくれるレシピサービス、スマホに蓄積された食事の画像から、今日のおすすめランチ情報を提供するグルメサービスなどがある。また、体調が悪いときに症状を伝えると医者にかかる必要があるかどうか、アドバイスをしてくれるサービスなども開発、実証を進めている。多くの企業と協業し、サービス提供による収益化を目指す。

「人工知能の市場はまだスタンダートがない。僕たちはそれを確立したい」。日本発のベンチャー企業が新市場を切り開けるか。支援するKDDIにとっても、いずれ本業と直結する可能性を秘めた期待のベンチャーと言えそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事