日本人の幸福度が下がっている一因として、「日本全体が貧乏になっている」ことが挙げられます。一億総中流などと言われた時代はすでに過去のものとなり、日本でも貧富の差が広がっています。そうした中で注目されているのが、「相対的貧困」という概念です。
OECD(経済協力開発機構)は、「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々の割合」を相対的貧困率と定義しています。わかりやすくいうと、相対的貧困とは「大多数よりも貧しい状態」と考えていいでしょう。
2021年のOECD調査では、日本は38カ国中7番目に相対的貧困率が高く、G7参加国の中で一番高くなっています。つまり、日本はかなり貧富の差が大きい国だということです。
「2018年国民生活基礎調査」をもとに厚生労働省が示しているところによれば、日本の相対的貧困の基準は「世帯収入127万円」というラインです。そして、相対的貧困率は15.7%となっています。約2000万人、日本の人口の6人に1人があてはまるのです。とくに母子家庭で顕著で、半分以上が相対的貧困状態となっています。
もともと日本では男女の賃金格差が大きく、かつ非正規雇用の女性は大変に不利な状況に置かれています。
コロナ禍で「自助」を求める国
コロナ禍では、経済活動が抑制されたことで非正規雇用労働者の解雇が相次ぎ、母子家庭に限らず困窮リスクが高まりました。そうしたさなか、自民党総裁選挙に勝利した菅義偉氏は、首相大臣の就任記者会見で「自助、共助、公助そして絆」と述べました。特別な事態で困っている国民が、最も公助を必要としているときですら、政府は「自分たちでなんとかしろ」と言っていたのです。
次の岸田政権も、その路線を踏襲しています。岸田首相は、最初こそ独自の路線を歩むかと思われましたが、今は投資を推奨し「自分の生活資金は自分で調達せよ」ということを暗に言っています。
政府の姿勢に同調するわけではないけれど、国民が自分たちを守るには、本当に自助・共助が必要なんだと僕は思います。残念ながら、そうするしかない状況です。貧困に陥っている人は、NPOなどさまざまな団体に頼ってほしいし、共助の手を差し伸べられる人は、小さなことでも始めてほしい。
僕個人は、児童養護施設へのパソコン寄付プロジェクトを展開しています。その発端は、政府の「GIGAスクール構想」で、税金を使って配られたのがパソコンではなくタブレットだったことにあります。
タブレットでは、誰かがつくったアプリにお金を支払って使う消費者しか育ちません。パソコンでプログラムを書いたり、音楽や動画をつくる生産者になることで、貧困から脱却する道が見つかります。だから、僕はパソコンにこだわっているのです。とはいえ、いきなりプログラムを組めるはずはありません。
まずは「面白い」から入ってもらうことが重要なので、ゲームもできるようなスペックのものを選んで送っています。
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