岸田首相「親バカ人事」の果て"長男更迭劇"の痛手 ネット“大炎上"で支持率下落に対応迷走

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これに対し、野党第1党の立憲民主は「政権を揺さぶる絶好のチャンス」(幹部)と勢い付き、30日の国会審議で同党女性議員が執拗に「更迭ですね」と詰問。これに対し岸田首相はやや気色ばんだ表情で「けじめをつけるために交代させる。(更迭か更迭でないかという)言葉遊びをするつもりはない」と開き直った。

ただ、この岸田首相の釈明には、首相秘書官経験者の1人は「言葉遊びをしているのは岸田首相自身だ」と指摘。「けじめをつけるための交代というのは、政治論でいえば完全な更迭。それを言葉遊びと言い抜けようとするようでは、宰相としての資質と見識が問われる」と厳しく批判した。

こうした一連の岸田首相の対応について、野党だけでなく自民党内からも「すべてが後手後手で、判断も甘い。政権発足以来問われ続けている岸田流のスキャンダル対応の拙さが改めて露呈した」(閣僚経験者)との声が噴出している。

当然、有権者の自民党支持者の間からも「そもそも長男を秘書官に起用したこと自体が間違い。国民の感覚と完全にずれており、速やかに退陣すべきだ」「息子をしっかり監督できない人に行政の舵取りなどできない」などの批判が相次いだ。

その一方で、若い世代の有権者からは「辞めなければいけないほどの問題とは思えない」「明確なルールがあるわけではないので、まずこういう問題でのきちんとした対応策をまとめるべきだ」など同情する声もあった。

「高齢・女性」層が厳しく「若者」は同情的

ちなみに騒動勃発直後の5月27~28日に朝日新聞が実施した全国電話世論調査では、「忘年会」についてどの程度問題だと思うかとの問いに「大いに問題だ」44%、「ある程度問題だ」32%と問題視する答えは7割超となった。

特に回答を男女別に分析すると「問題だ」とみる人の割合は、男性の69%に対し、女性は81%と女性の方が厳しかった。また 年代別では「問題だ」が60代以上は80%を超えたが、30代以下は66%。「大いに問題だ」は70歳以上が57%で、18~29歳は29%にとどまるなど、「高齢者・女性が厳しく、若者は同情的」という傾向も明らかとなった。

その一方で、今回の騒動で国民的批判の的となったのが「世襲問題」だった。岸田首相も含め、最近の20年で首相を務めた自民党衆院議員6人のうち、世襲でないのは菅義偉前首相だけ。政権の中枢部門に位置する麻生太郎、河野太郎両氏は典型的な世襲議員で、党幹部や現役閣僚にも世襲議員が目立つ。

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