著名教授「セクハラ裁判」で露呈した日本の異様さ 権威持つ年上男性には逆らいにくい文化

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東京の大学でジェンダー法の講義をする谷田川知恵氏は、夫婦間の契約であるにもかかわらず、それを破った佐野さんの責任が問われた、林マチコさんの訴訟は「ちょっとおかしい」と思われるかもしれないと述べた。しかし、専門家によれば、こうしたケースは決してめずらしいことではないという。

「期待を裏切るわけにいかなかった」

佐野さんがこの教授と出会ったのは、2004年、上智大学の学部生だった佐野さんが、林氏の美術史の講義を受講したときだった。彼は日本近代美術の専門家として知られており、フェミニズムや言論の自由に対する発言力があった。

2人の関係は、しばらくは学問的なものでしかなかった。彼女の大学院進学について相談したこともあった。推薦状を書いてくれたり、インターンシップを斡旋してくれたりもした。

彼女によれば、2007年、大学院に進学する前の夏から秋にかけて、林氏は彼女を恋愛対象として手なずけ始め、2人の間の垣根が曖昧になっていったという。彼は彼女を定期的にお茶に誘った。彼女は断ることはできないと感じた。

佐野さんは、「彼は読書の提案をしてくれたり、大学院に向けての勉強会をしてくれたりして、私に期待してくれているように感じました」と言う。「それを裏切るわけにはいかないと思ったんです」。

上智大学のような日本の教育機関には、学生と教授の関係についてより明確な指針が必要だ、と主張する人もいる。政府は最近、大学に対し、セクハラや暴力の相談窓口についてより多くの情報を提供すること、また懲戒処分が行われた場合にはその内容を公表することを求めた。

大阪大学の牟田和恵名誉教授(社会学・ジェンダー論)は、「権力のある人を喜ばせたいという思い」があるので、「指導教官や教授と学生の間のあらゆる関係は、定義上ハラスメントに当たります」と指摘する。

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