摂食障害、強迫性障害(OCD)、うつ病のある人は、こうした病気の症状がない人に比べて、完璧主義のレベルが高い。また、完璧主義は、ストレスや循環器疾患のリスクを増加させることにも関連している。この特性をもつ人は、しばしば高レベルの怒りや不安を覚え、みずから命を絶つ可能性も高い。
完璧主義は年齢を重ねるにつれ、厄介さを増していく。直感に反するかもしれないが、良心や、勤勉さや、生産性が低下し、神経質になり、燃え尽き症候群に陥る可能性が高まってしまうのだ。考えてみればそのとおりで、完璧を求めるほど失敗の回数は増加し、成功の頻度は下がっていく。そのうち仕事から遠ざかり、心が苦しくなる。そして失敗を受け入れるよりも、心を閉ざし、端から挑戦しなくなる。完璧主義が行きすぎて神経衰弱に陥ってしまった友人は、朝、職場に着ていく服が選べなくなったことが、最後の引き金になった。
外見を完璧に磨き上げてきたにもかかわらず、どうしても自分の納得できるレベルには届かなかったのだ。友人は身動きが取れなくなり、最終的には専門家に助けを求めることとなった。
まずは完璧主義を認めることから
では、完璧主義に抗うにはどうしたらいいだろう? なによりもまず、それを認めることだ。ただしその性質上、完璧主義者が自身の問題点を認めるのは非常に難しい。話し合い療法や認知行動療法(CBT)は、自分の行動の理由を知り、ネガティブなパターンから抜け出すためのツールであり、完璧主義と戦うための最善の手段である。
こうした治療が受けられない場合、自分の居心地のいいゾーンから無理にでも出て行くといいだろう。セラピストたちの言によると、自分のコンディションが完璧でない状態で何かをする――体調が100%でないときに運動をしたり、プロジェクトが完璧でなくとも期限を決めてストップしたりする――のは、いずれ大きな変化をもたらすいいスタートになるという。
完璧主義を研究する専門家と話して得た、最後にして大事な助言は、「完璧」というものは存在しないが、みずから学んで向上していく姿勢は、生涯の目標としてふさわしい、ということだ。
生涯にわたって学んでいく姿勢を子どものころに身につけ、それを人生の信条にすることができれば、歳を重ねてからも心身を守ってくれる、大切な認知予備力が向上するだけでなく、テストが終わっても、レースで勝っても負けても、ひとつの困難を乗り越えても、物事は終わらないという感覚を維持することができるだろう。ありきたりな言い回しかもしれないが、人生を修復するには、目的地よりも、その道のりで何をするかが大切なのだ。
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